EP14:ソビエト人の日常
「オッサン、魚肉の方のサシースカ・フ・テステをくれ」
「あいよ!!」
トベルスカヤ広場にある屋台にて、ロシア風ホットドックことサシースカ・フ・テステを注文する男。
そして、男はお目当ての食べ物を受け取った後、そのまま友人のいるベンチに座った。
「お前それ好きだな」
「こっちの方が健康的だからな」
友人の言葉に対してそう言うと、サシースカ・フ・テステを食べる男。
このサシースカ・フ・テステという食べ物は、本来の世界線ならば1959年に渡米したニキータ・フルシチョフによってもたらされた料理の一つなのだが.....この世界ではスターリンの活躍によって一足早くソビエト人たちの間で普及した結果、彼らの軽食として定着しつつあった。
「ん、美味い」
そう言った後、もう一口サシースカ・フ・テステを食べる男。
そんな男を見た友人は
「魚のソーセージって美味いのか?」
と尋ねた。
「結構美味いからお前も食うか?」
「今は腹一杯だからまた今度食うわ」
そう言った後、男の友人は水筒に入った水を飲むと......友人は思い出したかのようにこう言った。
「そういや、もうすぐうちの国で長編アニメ映画ってやつが作られるらしいぞ」
「え?そうなのか?」
友人の言葉に対し、驚いた様子でそう呟く男。
というのも、世界初の長編アニメーション映画である【白雪姫】が公開されたのは1937年....つまり、1928年当時の世界では短編アニメが主流だったため、アニメ国となりつつあったソビエトにとってこの情報は驚き以外の何でもなかったのである。
「長編......てことは、普通の映画と同じ時間のアニメってことなのか?」
「かもな」
ワクワクとした様子で男がそう言うと、同じくワクワクとした様子でそう答える友人。
「こりゃ今後の楽しみが一つ増えたな」
「だな」
ニカッと笑いながら、そう言う男たち。
「ところで.......話は変わるけどよ、最近の仕事の方はどうなんだ?」
「どうも何も、少しずつ軌道に乗ってる感じだな」
男の言葉に対して友人はそう答えた後、再び水筒の水を飲んだ。
「これも閣下が車関係のことに力を注いでくれたおかげだな」
友人がそう言うと、男は
「車かぁ....どうりで最近道路を走る車が多いわけだよ」
納得したようにそう言った後、サシースカ・フ・テステを食べ終わるのだった。
「んで、これからどうする?」
「そうだな.......とりあえず映画でも見にいくか」
「おっ!!それ良いな!!」
そんな会話をしながら、スターリンのちょっとした改革を実感する男たちなのだった。
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