EP11:ソ連の異変

ソビエト社会主義共和国連邦がソビエト共和国連邦として再始動した。

この事実はアメリカにも伝わり....今現在のアメリカ大統領こと、カルビン・クーリッジはそのことが書かれた書類と睨み合っていた。


「......スターリンは一体何をするつもりなんだ?」


書類をデスクに置き、ため息を吐きながらそう言うクーリッジ。

彼がそう思うのも無理はなく....何せ、ソ連が社会主義国家ではなくなってからというもの、言論の自由が認められたり政府がアニメ産業をサポートしたりと、ソ連国内ではアニメ制作が活発に行われるようになり....それに伴った経済効果も出てきたため、クーリッジは警戒していたのである。


「噂によれば、ソ連国内でカラーのアニメが作られたとも聞きますし....恐らくは、五カ年計画の代わりとしてアニメ産業を押し出すつもりかもしれません」

「アニメか.......」


部下の言葉に対し、そう呟くクーリッジ。

この当時のアメリカはヨーロッパに変わって世界の中心となりつつあり、常に最先端を行っているという優越感があった。

けれども、スターリンという男が暗殺未遂事件から復活したのを機に、アメリカという大国の歯車が少しずつズレてきていたのだが.....この時の彼らはそのことを理解しておらず、ただただスターリンの不思議な行動について真剣に考えていた。


「それに、スターリンは食品に関する研究所も立ち上げたという報告もあります」

「......やはり、記憶喪失になったのが影響しているのか?」


不思議そうにそう呟きながらも、再び書類を見つめるクーリッジ。

そして、とある書類を見た時


「.......は?」


思わずそう言葉を漏らした。


「大統領、どうかしましたか?」

「....スターリンが近々ウクライナに賠償金を払うつもりらしい」

「.....え?」


クーリッジの言葉に対し、ポカーンとした顔になる部下。

そして、すぐに我に返ると


「大統領、あの男が本当に賠償金を....?」


信じられないという様子でそう言った。


「あぁ、信じたくはないが事実らしい。現にウクライナの人々に対して頭を地面に擦り付けたともいう話も聞いたからな」

「なんと....」


クーリッジの言葉に対し、思わず目を見開く部下。

そんな部下を尻目にクーリッジは椅子にもたれかかると


「スターリンめ......今更何をするつもりなのだ?」


天井を見上げながらそう呟いた。

なお、当のスターリンは自身の邸宅にてカレーを作っていたのだった。

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