EP8:アニメの夜明け
最近の閣下、変じゃない?
スターリンが復帰直後に例の演説をして以降、そんな話を表立ってする人々が増えていた。
というのも、スターリンは復帰して早々に言論の自由を認めるという発言を堂々と発表したため、人々は久しぶりにそういう話が出来る自由を味わっていた。
それは、ロシア国内にあるアニメスタジオも同じだったのだが.......
「いや〜、ここがアニメの制作現場ですか。何だか名作が生まれそうな予感がしますねぇ」
今現在、そのアニメスタジオには何故かスターリンが来訪していたため、アニメーター達がドが付く程に緊張していたのは言うまでもない。
「あ、あの....スターリン閣下、ど、どうしてここに....?」
スターリンに対し、スタジオの代表は恐る恐るそう尋ねると.......当の本人は
「あぁ、そのことですか。実は近々アニメーション産業を支援しようと思っているんですよ。ですから、アニメーターがどのような環境で働いているのかをこの目で直で見ようと思いまして」
威圧感たっぷりなオーラはどこへやら、ニッコリと微笑みながらそう言った。
その言葉を聞いた瞬間....アニメーター達は目を見開くと、こう言葉を漏らした。
「.....え?」
アニメーター達がそうなるのも無理はなく.....何せ、スターリンが暗殺未遂事件に遭うまではアニメを生み出すアニメーター達は人々から軽んじられていたからである。
しかし、そのスターリン本人がアニメーション産業を支援するということはアニメーター達の努力を認めると言っているようなものであり、その言葉を聞いたアニメーター達の目にはいつの間にか涙が浮かんでいた。
「あ、もう一つ言うのを忘れてましたが....あなた方は人々の夢を作る存在です。ですから、私を非難するような作品を作るのも構いませんし、何だったらあなた方のやりたいようなことをとことん追求してください」
アニメーター達に向けて、そう宣言するスターリン。
それは、アニメーター達に表現という名の自由が与えられた瞬間であった。
「アニメを作るあなた方もまた、立派な芸術家です。ですから、胸を張って頑張ってください」
「「「「はい!!」」」」
スターリンの激励に対し、そう声を上げるアニメーター達。
その後、スターリンはロシア国内にあるアニメスタジオを回り、叱咤激励の言葉をアニメーター達に掛けまくった結果......表現の自由という名の大義名分を得たアニメーター達は次々とアニメ映画(短編)を作り始めたのは言うまでもない。
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