EP6:スターリン邸でのディナー
1928年の春、スターリンは暗殺されかけた末に復活した。
しかし...スターリンは復活して早々に社会主義を非難しただけではなく、ソビエト社会主義共和国連邦をソビエト共和国連邦として再出発すると宣言したものだから、ラーザリ率いる側近や幹部達はスターリンの変化に対して戸惑っていた。
更に、スターリンは五カ年計画の中止やウクライナ・ソビエト共和国連邦から手を引くとも発言したり、挙げ句の果てには土下座までしたりと、側近や幹部達は頭を抱えることになった。
そんな時、スターリンは側近や幹部達に対して突然こんなことを言った。
「うちで食事でもしませんか?」
その言葉を聞いた側近・幹部は二つ返事でその誘いを了承し、スターリン邸にやって来たのだが.....
「あぁ、いらっしゃい」
彼らを出迎えたスターリン本人がいわゆる割烹着を着て出迎えたため、側近や幹部達は目を丸くしていた。
「あ、あの.......閣下、その姿は一体?」
「あぁ、これですか?これはエプロンですよ」
初めて割烹着というものを見たからか、ポカーンとしている幹部達に対してスターリンはそう言うと続け様にこうも言った。
「それより....私はそろそろ調理に戻らないといけないので、適当な場所に座っておいてください」
その言葉を聞いた瞬間、側近・幹部達は耳を疑った。
閣下はエプロンなんか着て料理はしない。
一体これはどういうことなんだ?
幹部達はそう思いながらも、とりあえず椅子に座った。
それから数分後、彼らの前に運ばれてきたのは......チキン南蛮・味噌汁・白米などの日本食で、スターリンは
「箸があれば完璧だったんですけどねぇ」
と、残念そうに呟いていた。
そんなスターリンを見た幹部達は顔を見合わせながら困惑していた。
しかし、スターリンは戸惑っている幹部達を尻目にいただきますという日本語を発した後、ナイフとフォークを使って器用に食べ始めた。
その様子を見た幹部達は我に返ったのか、スターリンと同じように食事を始めた。
肝心の料理の方はというと.....味付けが良かったのか、幹部達はパクパクと料理を食べていた。
自身の作った料理を美味しそうに食べる幹部達に対し、スターリンはニコニコと笑っていた。
「閣下、どうして我々をここに呼んだのですか?」
チキン南蛮を食べながら、ふとした疑問をぶつける幹部。
その言葉に対し、スターリンは
「有り体に言うところの仕事の話をするためですよ」
と言った後、味噌汁を飲んだ。
仕事の話と聞き、一気に緊張感が走る幹部達。
そんな彼らに対し、スターリンは
「あ、別に緊張しなくても良いですよ。大した話ではないので」
と言った。
「そ、それで....仕事の話とは何ですか?」
意を決した様子で幹部がそう尋ねると
「....この国には娯楽があまりにも少ない。なので、その娯楽を充実させようかと思いまして」
スターリンは幹部達に向けてそう言った。
「ご、娯楽....ですか?」
呆然とした様子でそう呟く幹部に対し、スターリンは
「えぇ、そうです。ですから....まずはアニメで国民の心を掴もうと思っています」
そう言った後、チキン南蛮を食べた。
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