EP4:初めの第一歩
スターリンがソビエト社会主義共和国連邦をソビエト共和国連邦として再出発することを宣言した次の日、当のスターリン本人はというと
「うん、とりあえず五カ年計画は中止しましょうか」
「なっ!?」
後にソ連の象徴となる五カ年計画を中止する決断をしていた。
「何故ですか!!この計画は今後の国の未来を左右する」
「物事は計画通りにいかないのが常ですから」
憤る側近ことラーザリ・カガノーヴィチに対してそう言った後、山のようにある書類を一枚ずつ見るスターリン。
結局、スターリンは幹部達を追放することはなかった。
その代わりに、自分が居なかった時の仕事を手伝ってほしいという名目で幹部達に仕事を回していた。
最も、本人にとっては無理矢理演説に引っ張り出したことに対する復讐として仕事を回していたのだが、それはここだけの話である。
「で、ですが!!」
「ではあなたは五カ年計画が頓挫した場合の打開策を有しているのですか?」
スターリンがそう言うと、苦虫を噛み潰したような顔になるガガノーヴィチ。
そんなガガノーヴィチの顔を見たスターリンはざまぁみろと思いつつも、彼に向けてこう言った。
「あぁ、そうだ。ウクライナ・ソビエト社会主義共和国についてですが.....私はウクライナから手を引くことにしたので、他の皆さんにもそう伝えておいてください」
スターリンはニコッと笑いながらそう言うと、ガガノーヴィチは
「......は?」
呆然とした顔でそう呟いた。
「あの.......冗談ですよね?」
ガガノーヴィチは顔を引き攣らせながらスターリンにそう尋ねるが、当のスターリン本人は
「いえ、冗談ではありませんよ」
ニッコリと笑いながらそう言った。
「我々の過ちを後の世代に引き継がせるわけにはいきませんからね」
「過ち.......」
この時代のウクライナはソビエト・ウクライナ戦争を経てソ連の傀儡政権と化していた。
なので、ソ連にとっては都合の良い駒だったのだが.....あろうことかスターリンはその駒を自らの手で廃棄したため、ガガノーヴィチは信じられないと言う顔になっていた。
「それからもう一つ。ちょっと耳を貸してもらえますか?」
スターリンはそう言った後、ガガノーヴィチの耳元である計画を伝えると
「という感じのことをしようと思うんだが.....どう思う?」
ガガノーヴィチに対してそう意見を求めた。
その言葉に対し、ガガノーヴィチは
「......正気なのですか?」
半信半疑でそう尋ねた。
そんなガガノーヴィチに対し、スターリンは
「えぇ、私はいつでも正気です」
ニヤッと笑いながらそう言った。
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