第10話

公爵様は、私の本当のお父様なのだ。お父様はずっと私のことを愛していたのだ。


「私はずっと、愛されててっ......」


ぼたぼたと大粒の涙が私の輪郭を丁寧につたっていく。

そんな私を、お父様はなにもいわずに、ただそばから見つめていてくれた。

私がなぜ叔母様のもとにいたのか。そんな話はもう聞き流してしまっていた。

それでも、お父様といられるのならもう別にいいだろう。

つたう涙が私の手の甲を滴り落ちていく。ほんのりと温かみを帯びた雫で私は不快感を覚える。

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