第41話

.....。クソ店長のせいで僕は泣いてるのにっ、


「先輩だから、ですよっ.....」


僕の返答にクソ店長は戸惑ったようだった。

そりゃあそうだ。僕の返答はちゃんと答えになっていないのだから。

僕は先輩が先輩という1人の人間だから好きだ。

サラサラとした繊細でまるで絹のような水色の髪の毛に、まるで宝石のような、琥珀色をしたうるうると輝く瞳に、何も方が大好きだ。


「んっ.......。ねぇ、アオバ?そろそろ咲花君逃したんじゃないかしら?.....向かってみたら?」


クソ店長の、今まで数回しか聞いたことのないくらいに優しい優しい声。


「......。ここから先、どうせ店長は先輩が幸せになる道を、選ぶんでしょう?僕は嫌ですよ。でもっ、わかってて選んだんですっ。」



もう何もかもが吹っ切れたような、でも少し暗い顔をした先輩がクソ店長の扉の前まで来た。

僕は扉にもたれかかって、自分の顔を先輩に見えないようにして、口を開く。


「先輩、やっぱりと言うべきなよか、店長大怒りですよ。」


どうせ、先輩はまたあの人魚と出会えるのに。


「ねぇ青葉君”ありがとう”」


先輩のその言葉に、僕はまた涙が溢れそうになる。


「先輩、そんなこと言わないでくださいよ。」


僕はできる限り、誤魔化すようにして笑った。


「それじゃあ青葉君、”また会う日まで”、ね?」


あぁ、本当に僕って、馬鹿だなぁっ.....。

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人魚の君とまた会う日まで @Kisaki_0924

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