第7話

「お姉様、お姉様!!」


私の回りをとことこと歩くヒナ。

彼女はいつものように美しい瞳を揺らしていた。

紫色と紅色が薄く、淡く鮮やかに広がる瞳。


「あら、どうしたの?ヒナ。」


稽古も終わり、ヒナとの甘い時間を過ごす私はヒナの言葉にそっと耳を傾けた。

庭園で揺れる花々もヒナを歓迎するように揺れていた。


「お姉様は、すごいですね!!」


そっと私のドレスの裾を掴むヒナ。

かっ..........かわよっ.......。

やば、尊っ、


「ありがとうヒナ。」


私はできるかーぎりこの思いを押し殺してヒナとの言葉を紡ぐ。


「お姉様、その、あの、」


うるうると揺れる可愛らしく、小さなヒナの瞳。

不思議な色味をした瞳は、とてもあでやかだった。

黒髪のなかで光る瞳。まるで、宝石のようだった。


「ヒナ、ゆっくりで良いわよ。」


できるだけ、長くヒナとの日々を味わいたいのだから。

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妹に殺されるはずが、光落ちした悪役令嬢に愛されています。 @Kisaki_0924

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