季節はマントを脱ぎ捨てた(Le temps a laissié son manteau)

クロード・ドビュッシーが作曲して『フランスの3つの歌(Trois chansons de France):第1曲ロンデルI(No. 1. Rondel I)』として知られている詩です。


シャルル・ドルレアンの作品としてはおそらく一番有名。

ドビュッシーの他にもサンサーンス、ケクラン、セヴラックなどが作曲したバージョンもあるようです。


初回なのでね。比較的、情景が浮かびやすい詩からいきます。

冬空を覆う厚い雲を「マント」に見立てて、春の訪れを喜んでいる詩です。


原文と訳文を併記します。


————

Le temps a laissié son manteau

De vent, de froidure et de pluye,

Et s'est vestu de brouderie,

De soleil luyant, cler et beau.


季節ときはマントを脱ぎすてた

風と寒さと雨をまとったマントを

そして太陽の輝きと明るさと美しさを

刺繍した衣装に着替えた


Il n'y a beste, ne oyseau,

Qu'en son jargon ne chante ou crie

Le temps a laissié son manteau

De vent, de froidure et de pluye.


生きとし生ける動物たちも鳥たちも

みんなそれぞれ自分の言葉で歌ったり鳴いたりしている

季節はマントを脱ぎすてた

風と寒さと雨をまとったマントを


Riviere, fontaine et ruisseau

Portent, en livree jolie,

Gouttes d'argent, d'orfaverie;

Chascun s'abille de nouveau

Le temps a laissié son manteau.


川も泉もせせらぎも

銀細工の水滴で飾られた

きれいな晴れ着をまとっている

誰もが新しい衣装を着ている

季節はマントを脱ぎすてた

————




季節に対する豊かな感性は、日本の詩歌に通じるものがありますね。


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