第8話 潔癖2
くまのぬいぐるみを風魔法で乾かす白髪の魔女を横目に、部屋を見渡す。
「汚ねえ……」
「何か言ったか?」
「いえ、別に……」
正面の壁には真四角のはめ殺し窓。しかし曇っているせいで申し訳程度の光しか入ってこない。
暗がりに沈む本棚は部屋を陰鬱に囲み、それでも収まりきらなかった鈍器のような洋書がホコリだらけの床に所狭しと積まれている。その奥で魔女は、何やら本を出したり入れたり移動させたりを繰り返していた。
こちらから見て左側の壁を向くような形で、かなり年季の入ったアンティーク調の机がうずくまっている。大量の錬金術に使えそうな怪しげなビーカーや、羽根ペン、黄ばんだ紙が無造作に散らばっていた。
入口のすぐ横には、彼女が魔女であることを裏付けるような大釜。しかし中は空っぽ。蜘蛛の巣しかない。
愛用のゴム手袋をはめたい衝動に襲われ、いつの間にか汗ばんでいた手を静かに握り締める。
手のほこりを払い、ローブ姿の少女は満足げに大きく伸びをした。
「さて! 結構久々に掃除もしたし空いてるスペースに腰掛けてくれんかの?」
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潔癖症、モンスターに触りたくなくて無双する。 青間ノヅル @noduRu
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