第7話 潔癖1

 親譲りの綺麗好きで、俺は子供のときから損ばかりしている。

 掃除の時間、俺の担当した箇所だけ業者並みに綺麗になってしまい、同級生から引かれたり。

 バイトの給料が掃除用品にほとんど持っていかれたり。

 目覚めてから部屋の掃除をするまでが起床のルーティンのため、どんなに眠くても午前5時には起きてしまったり。

 転生してからも綺麗好きの気は色濃く残り、精度の高い遠隔魔法を使った非接触かつ効率的な掃除テクニックをメキメキと習得していった。

 清潔意識の低いこの世界、何も出来ない幼児の頃は虫唾が走るようだったが、自分で何とかできる小学校高学年あたりからは常に清潔を徹底してきた。

 自分が触れるもの、はたまた自分の目に映る空間は全て浄化し、縦も横も表裏もサイズも色も全て整然として見えるように並べた。

 生活感皆無上等、むしろそれくらいじゃないと気が済まない。

 

「あー、テキトーに飛んできてくれ。虫とかいるかもしれんが踏んで構わん」

「なっ……」

「なんじゃ? あっ、そいつはまだ乾かしてないやつじゃ、投げてくれ、風魔法で乾かす」


 綺麗好きのサラブレッドとして生を受けて、合計38年。

 そして俺は、ある意味最大の敵を目の前にしたのだった。

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