第一章
1~10
1 不時着
「私たち、ここで死ぬのかな……」とマナは呟いた。隣のリアが、そんなはずないよ、と慰めたが、リアの声も震えていた。まとめ役のはずのカイまで、小さく頷いている。マナは涙を堪えきれなくなって泣き始めた。
*
落ち着け、まずあたりを見回そう——。起きて、地面にすわったとき、まず壮一はそう考えた。が、しかし、見渡せるものは、砂浜と、波打っているのどかな海、それだけだった——。あるいは、数本の木があった。しかし、切って筏で脱出しようにも、丸太だけであれば数本流されればおしまいだし、第一日本はどこだかわからないのだ。
「まず、ここはホノルルでは無いな……」
と壮一はつぶやいた。そして、立ち上がって、歩き始めた。歩けば、たとえば船が見当たるかもしれない……。生き残るために、力のある限り歩き尽くそう。
*
【ゲームマスター】はその様子を観察していた。嬉しい反面、悔しくもあった。「なんだ、あの白肌の男たちは。ファウルル島を異世界だと勘違いしてやがる。おいおいお前ら……おれはお前らがなんちゅう種族なのか知ってるぞ、日本人だ……」
隣の執事らしき男がつぶやいた。「マスター、それは無いでしょう」
「なぜ?」
とは聞いたものの、【ゲームマスター】もその理由は知っていた。その上でああいったのだ。
執事もそれをわかっていた。しかし続けた。
「第一、彼らをこのファウルル島に『ちりばめろ』とおっしゃったのは他でも無い、マスター本人ですよ……」
そして液晶画面をタッチした。人の形の青いところを押す。「キミノ ソウイチ……あの方と接近しています……」
異世界に飛行機と原稿用紙はありますか?〜作家の道〜 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel
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