第16話

秋になった。


あれから、僕だけが

生き残って

温情でまた普通の学生生活だ。


もう、誰も俊のことを

話題にしなくなった。


あの五月雨の季節。

きっと、きっと

自分は忘れないだろう。


自分の心のなかで

俊は生き続けてる。


君をどこかで探してるんだ。

君に言いたいことがあるんだ。



「俺、今日はメロンパン3つはゲットするぜ!」

智洋の変わらない話も、

受け答えできるようになっていた。


クラスにひとつだけある

机と椅子。

学年が上がるまでは

誰も座ることは無いだろう。



君のためのメロンパンを買って。

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五月雨 こうの なぎさ @n______47c

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