ビー球

1個目

辛いのは、ただ辛いだけなんだ。

辛くて、色んなことを思っていて、日々、懸命に、この中古車みたいな体と一緒に、できるだけ遠いところへ行こうとしてるだけなんだよ。

どこへも行かなくてもいいんだけど、心臓が鳴っている間は、まだ休み時間じゃないんだ。とりあえず移動していなくちゃいけない。基本的に、箱から箱へと……。

果汁1%という表記が、何故だか他人事には感じられなくて、何故だかこう、胸の奥の辺りがムズムズして辛いような気がする。

略して、畳まれてしまうから、辛いと感じるのか。省略しなくてもよいのか。丁寧に伸ばされた滑らかな絹のような文章の波……というか、そういう生の姿でもいいのかもしれない。

隣にいるのに、僕は苦しいと感じている。きみはどう感じている？　銃のことを考えている？　それとも桃の皮に生えている柔らかな産毛のこと？　それとも、世界の始まりと更なる始まりについて？　今度上映される4.5番煎じな映画について？　それとも、もしかして、僕のこと？　僕の細胞は多分、僕ときみがまだここにいてくれてうれしいって思ってるよ。……多分ね。

剣はどこかへ捨ててきた。君と話すために。

売っても値段の付かない物だけど、多分そのうち、僕よりもふさわしい誰かが、この世界のどこかで拾うのだろう。

そしていつの日か　その人も剣を持て余して、捨ててくれることを

僕は密かに願っている。