最終話 ヒロイン失格
疲れてしまったので眠ってしまった。
特に何もない空間というのは本当に退屈だ。
退屈過ぎて本当に眠たくなってしまう。
眠たくなってしまったので、私はどうすればいいのか考えた。
恐らく目覚めても檻の中だろう。
檻の中というか……何だろう。
一生このままなのかな。一生牢屋に囚われ続ける人生――何が楽しいのだろうか。
いっそこのまま消えてしまえばいいんだ。
そうだ。そうすれば楽になれるかもしれない。
だって、私の人生って無味無臭じゃん?
無味無臭な奴が何もない所にいるなんて……味気ないと思わない。
私はヒロイン失格だな。
こんな結末を迎えるなんて思ってもみなかった。
何でか分からないけど、私の頭の中で楽しい夢が浮かんでくる。
あまめやナチュルの他に色んな個性的なキャラクターが登場してきて私を色んな場所に連れてったりしてくる。
あとはデビーマみたいな敵じゃなくて、なんて言えばいいのだろう……怪物や怪人、怪盗なども出てきちゃったりして……あまめと一緒に多々買ったりするのかなぁ。
それともただ見ているだけ?
まぁ、どっちでもいいんだけど……それにしても、あまめは元気かな。
というか、今どれくらい時間が経っているのだろう。
ナチュルもあんまり関わっていなくてごめんね。
今の私にはあなたとどう接したらいいのか、分からないや。
私にヒロインなんてむいてなかったんだよ。
せっかくどうでもいい中途半端な主人公から転生させてもらったのにさ……あ、これネタバレだっけ。
いや、どうでもいいや。
何もかもどうでも……私の活躍なんて誰も見たくはないだろうし。
このまま一生檻の中で暮らしてもいいや。
うーん、もっと、もっと、もっと、色んな人関わりたかった。
だけど、どういう訳か、私の心が動かない。
全てが壊れてしまったみたいだ。
いや、自分で壊したのかな?
ひとりぼっちの無人島みたい。
私の世界はまるでこの牢屋みたい。
誰もいない中、一人だけ回想にふける――この虚しさをどこにぶつけたらいいのだろうか。
私の中で何かが終わった。
もはや呪縛だ。
私は呪われているんだ。
だから、もうヒロイン失格でいいや。
あまめやナチュルこそが真のヒロインなんだ。
そういえば私はどうなるのだろう。
このまま骸骨になるまで放置させられるのかな。
それでもいいけど、ジワジワと弱らせるのは悪趣味だな。
小悪魔だからそれぐらいのことはするか。
あぁ、お腹空いた。
頭も空っぽだ。
このまま心臓が飛び出して、天国まで旅立ってくれたら――そんな願いも虚しく私の人生はつづくのだった。
完
ヒロイン☆オーバー 和泉歌夜(いづみ かや) @mayonakanouta
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