第15話 え? もう卒業?!
風紀委員は逃げるようにどこかに行ってしまったが、ようやく安心してご飯を食べる事ができた。
注文した広東麺をおぼんに乗せて、あまめ達と合流した。
私が来るまで食べていない――と思っていたが、副菜のひじきと人参の和物が盛り付けてあった容器だけ空っぽだった。
ワイワイと食べて、一旦寮に戻って歯磨きしたり鞄を取りに戻った。
※
なんやかんやで放課後になり、歌のレッスンを受けた。
昨日までの私とは違って、あまめとナチュルの歌声を聞いても嫉妬しなくなった。
かなりマイナスな部分が無くなったのかな。
そんな事を思いながらレッスンを終え、三人仲良く寮に戻った。
※
それから二年以上の時が過ぎて、私は無事卒業した。
これから先は苦難の道が待っているかもしれないけど、頑張っていこうと思った。
完――いやいや、ちょっと待てよ。
何で急に完結しちゃったんだ。
まだ私にはやるべき事が残っているじゃない。
というか、三年生どころか、一年生もまもとに体験した事がないのよ。
一体私の身に何が――まさか。
「フハハハハハハ!!!」
すると、背後から声が聞こえてきた。
一体誰だと思い振り向くと、デビーマがいた。
「あなた、やっぱり反省……って、あれ?」
私はいつの間にか食堂にいない事に気づいた。
真っ白で何もない。いるのは私とデビーマの二人だけ。
「ここはどこなの?」
「どこでもない。なんてことない所さ」
デビーマはニヤリと笑みを浮べ、指を鳴らした。
すると、上空から檻が降ってきた。私は避ける暇もなくそのまま囚われてしまった。
「開けて! 開けなさい!」
「そんな命令を素直に受けとると思うかい。えぇ?」
デビーマはニタニタしながら離れていった。
「待って! 私をどうするつもり?」
「どうするつもりでもない。お前は一生この空間に閉じ込めるんだよ」
デビーマは声高らかに笑いながら消えていった。
「ちょっと! ちょっと! おーーい!」
声を張り上げて叫んでも彼女は出てこなかった。
私は完全に謎の空間に取り残されてしまった。
「あまめちゃーーーん!! ナチュルさーーーん!!!」
今度は二人の名前を呼んでみた。
けど、状況が変わる事はなかった。
「あぁ、どうしよう……」
私は頭を抱えた。仮に牢屋から脱出できたしても真っ白な空間からは抜け出せない。
どんなに目を細めても出口らしきものはない。
「終わった……」
私は仰向けに倒れた。
私の十六年という短いようで長い人生は、よく分からない小悪魔の手によって監禁されるという最悪の結末で終わってしまった。
明日へつづく……?
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