後日談とそれから。

第19話

家に着くと龍神は神力を使いすぎたため、トカゲの姿に戻った。


龍神という人間の不可侵の領域ということで城から追手が来ることはもうなかった。

龍神と清士郎と凛夏でまた暮らしはじめたが、そこに杜と丹が戻ってくることはなかった。

「あの二人は妖狐だから、狐神の所へ戻ったのだろう」と龍神は言う。

凛夏の母は狐神にかかわる巫女だった。先帝が崩御し、凛夏を置いて城を出た母だが、その母の命令で杜と丹が護衛をしていたのだ。

龍神は元気でやっているならそれで良い、育ての親離れだとぼやいていた。


そうして清士郎と凛夏は夫婦になり、仲良く揉めながら暮らしていった。


「清士郎~、だーい好き!」


洗濯物を干している清士郎の背中に張り付く凛夏。


「いつになったら家事を手伝ってくれるのです?」

「でも今日は御札を二十枚書きましたよ!」

「凛夏ちゃんにしては上出来だな」


清士郎と凛夏の間には龍神の加護を受けた銀髪で翠の目の子供が生まれた。

神通力がとても強くて容姿も良い子供になるだろう。

お芝居の手伝いをしてくれたからと、真っ先にその子を会わすと大吉はとても複雑な顔をした。


清士郎はそれを見て心の底から笑った。

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龍神に育てられたお金好き少年は、成り行きでお姫様の世話を焼き、無自覚に胃袋を掴む話。 蟹井のん @kanii_non

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