憂鬱な月曜日

月兎アリス(読み専なりかけ)

憂鬱な月曜日

 私、三橋詩織みつはししおり

 どこにでもいる小学五年生の女の子だ。

 好きなのは休みの日と遊ぶこと!

 嫌いなのは……学校と、月曜日。


 みんな、月曜日って嫌い? 私は嫌い!

 だって、いっぱい荷物を持って、今日から全然つまらない授業を受けるんだ……って思ったら、気持ちガクーンと沈むでしょ!


「詩織、上履き袋とか体育着とか持ったの?」

「持ったし!」

「ランチョンマットは?」

「うるさい持ったから!」


 最近、お母さんの言葉がイライラしてくる。

 いちいち確認しなくてもいいでしょ! 持ってるに決まってるでしょ!


 もうっ、うるさいな……と思ったが、家から結構歩いた神社の前で、気づいてしまったのだ。

 ……あれ……上履き袋ない……?


 あ、上履き、洗い終わってから、洗濯機の横に置きっぱ……!


 ああどうしようどうしよう! 今更帰っても気まずいし、でも職員室で借りるのも嫌だ! 絶対笑われるもん、恥ずかしい!


 そう頭を抱えていたとき……突然、ぬうっと影が現れた。

 え、誰……?


 ふと横に目をやると、そこには三毛猫が座っていた。

 三毛猫? 可愛い……しかも、オッドアイだ。尻尾も小ちゃくて、可愛い!


「どうしたの?」

わらわの社殿の前で頭を抱えた……それは妾を呼ぶまじない。よろしい、なんじの願いを何でも叶えてやろう」


 ……え、今の声、誰?

 ロリとかショタみたいに高い声だったけど、喋り方が古風というか……「わらわ」とか「なんじ」とか言ってたし。

 猫がしゃべ……いや、そんなことは流石にないか。


「でも、誰?」

「目の前におる妾が見えんのか? この三毛猫に変化へんげした妾が。獣人じゃから普通の人間には見えまいが……」


 ……目の前? 三毛猫?

 えっと、つまり……この猫ちゃんが、喋ってるってこと!?


「え!?」

「化け猫だが、人の願いを叶える力を持つのじゃ」


 ば、化け猫!? あやかしなの!?

 怖い怖い、どういうこと!?


「あー、逃げようとしても無駄じゃ。妾が境内に結界を張ったからな、陰陽道でも使えたら話は別じゃがな。名前は詩織と言ったか。詩織、鳥居の向こうに腕を伸ばしてみるんじゃ」


 いや何で名前知ってんですか。

 しかし、言われた通り腕を鳥居の向こうに伸ばす。簡単だ、そんなのできないなんて小学生としてあるまじき──。


「え……?」


 指先が膜のようなものに触れる。透明なドーム状のものに覆われてるみたいだ。見えない。でも、何かある。


「それが結界じゃ。妾が意図的に解くまで破れん」


 ……閉じ込められちゃった……!?

 嘘嘘嘘、学校はどうするの!?


「時間は止まっておる。妾の妖力ようりょくを侮るなかれ」


 化け猫、怖ぁ……って、て!


「誰なの!?」

「善き化け猫の幽音ゆうねじゃ。さて、汝の願いは?」

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