作品用語集②
【組織・団体】
主人公兼村未来が比嘉初子らに誘われた組織。
1916年、3月5日に伊波普猷や比嘉静観らが設立した組織。
そもそも組合教会とはキリスト教プロテスタントの一派、会衆派の日本での名称であり、1910年に日本組合教会として発足した。作中では男女問わず出入りしていた事から「伏魔殿」と呼ばれ、当時の沖縄の人達から嫌われている。
沖縄毎日新聞社
伊波月城が勤務している新聞社。琉球新報とは社風が違うらしい。
琉球新報
太田朝敷や高嶺朝教らが創設した新聞社。現代の琉球新報と違い、同化を推進する新聞社だった。現代の琉球新報の前身は「うるま新報」という創設に瀬長亀次郎が関わっている。
【歴史用語】
1882年ごろから沖縄にやって来た他府県の商人であり、大阪出身と鹿児島出身が多かった。琉球王と呼ばれた奈良原県知事は鹿児島出身の寄留商人を保護していた。元々、石垣囲いの赤瓦の家で商売をしたいたが、次第に町屋造りの家で商売するようになった。(屋根はそのまま赤瓦らしい)
彼らは政治の一大勢力を築き、中には県議会議員になるものいた。しかし、沖縄戦に近づくと殆どが本土に疎開し、戦後は没落していく家が多かった。
女学生
主に高等女学校に通う女子生徒の事。作中では女学校のみならず、師範学校に通う女子生徒もそう呼ばれる事が多い。本土の方では5年制の女学校も存在するが、沖縄では4年制がメイン。
当時の女学生と言うと、袴にブーツのイメージが強いが、それは1900年代前半~1910年代と言った一時期の流行であり、作中の年代である1916年ではもう流行っていない。どちらかと言うと袴に靴や草履を履く生徒が多かった。亜熱帯気候の沖縄では下駄や草履がメインだった。
中学生
現代と違い、旧制の中学校に通う生徒の事。良妻賢母を目指すために裁縫を習う女学校と違い、こちらは大学に進学するための5教科を教えている。現代で言えば中高一貫の男子校みたいな所であり、主に5年制らしい。
高校生
こちらも現代と違い、旧制の高校に通う生徒の事。旧制高校は今でいう大学の前期機関みたいな所であり、3年制である。(どちらかと言うと現代の高校生が旧制の中学生や女学生に近い)
伊波普猷や金城紀光も旧制高校に通った。
「遊女」の事。主に沖縄全島から選りすぐりの美女を集めている。しかし、彼女らは貧しさゆえに売られた女性達であり、伊波普猷は彼女らの状況を嘆いている。
【著書】
古琉球
伊波普猷が書いた著書であり、1911年に出版された。本人の大学時代の話や琉球史に関する事が書かれているマニアックな本。
琉球人種論
こちらも伊波普猷が書いた著書。古琉球から1年前の1910年に出発された処女作らしい。
【都市・名所】
作中の主な舞台。当時は現在の那覇よりも範囲が狭く、浮島と呼ばれた那覇四町(西・東村・若狭・泉崎)と久米、辻と奥武山と垣花と壺屋までだった。
ちなみに現在と違って「那覇市」では無く、「那覇区」であり、「那覇市」になるのは作中から5年後に当たる1921年から。
那覇付近にある村であり、1908年に島嶼町村制により成立。作中では那覇の次に舞台になる事が多い。戦後は那覇のほぼ中心部となり、公共施設が増える。
作中では登場する事が少ないが、登場人物の何人かはこの辺りにある学校に通ている。琉球国時代の首都であり、かの有名な首里城もここにある。
主人公が最初にタイムスリップした場所。久米村と若狭村の間にあった丘陵地。琉球国時代は久米村の所有地だった。
1899年から実施された土地整理事業により、県有地となる。作中の時代である1916年には那覇尋常高等小学校、那覇地方裁判所、松山尋常小学校、沖縄県立沖縄病院、裁判所官舎、連隊区司令部及び官舎が存在していた。なお、東側は「
久米大通り
波上宮辺りから
那覇の中心地。現在の東町にあった通り。路面電車や寄留商人の店が多く並んでいる。作中ではティムとザックがうろついていた。
現在の西町にあった通り。西本町に繋がる。
久茂地大通り
現在の久茂地にあった通りであり、孔子廟付近から潟原と崇元寺への道の交差点までの通りであり、孔子廟はもちろん、小澤博愛堂と呼ばれる書店が存在する。
西本町
こちらも寄留商人が多く住む街。伊波普猷の家もこの辺りにある。
西新町
琉球が滅びて埋め立てによってできた街。大正館という旅館や花月、
東町
区役所や郵便局、警察署などがある。だいたいこの辺りで市場が開かれている事が多い。
遊郭がある街。「ちーじ」と呼ばれる。沖縄において遊郭の主は主に「アンマー」と呼ばれる女性経営者がいた。1930年代にホテルができるまではこの辺りにある宿で泊まっていたという。
琉球国時代、久米村の人々が孔子を祀るために作られた廟であり、1676年に設立。現在の孔子廟とは違う場所にある。沖縄戦で焼失している。
琉球国時代の国廟。主に第二尚氏の歴代国王を祀る。作中では在りしの崇元寺が登場する。こちらも沖縄戦で焼失。
那覇港内の小島(現在は那覇軍港)にあった王府の倉庫である。作中では風月楼という店がある。
【公共交通機関】
主人公達が乗った鉄道。1914年の12月に開業。作中当時は県営鉄道与那原線しか通っていない。
路面電車
主人公が通学で使用している電車。1914年5月1日に開業し、首里~大門前(現在の東町)を結ぶ全長5・7キロを片道32分で運行した。開業当初は物珍しさに混雑していたが、当時の沖縄の人達にとって歩く事がメインだったため、だんだん客数が減ったという。
人力車
当時の沖縄で頻繁に利用されていた。主人公達も人力車を利用して那覇の街へ行った。
馬車
当時の沖縄で使用されていた乗り物。知花蓮の曾祖父や与那原の人達が乗っていた。
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