作品用語集③


【学校・公共施設】


県庁

当時は西本町5丁目にある。門がめちゃくちゃ和風。元々、薩摩藩の在番所だったという。県知事を始め職員の殆どが本土の人間。



知事官舎

当時は知事が住む空間であり、東町の通堂辺りにある。帝国機関の拠点であり、作戦会議をする事がある。



沖縄警備隊区官舎

沖縄警備隊区とは全国にあった軍事行政機関の1つ。徴兵や動員、在郷軍人の指導練成などを取り扱った。徴兵忌避者が多い沖縄では民間への軍事思想の普及や中学校の合同演習なども担った怖い組織。その官舎は松尾山まちゅーやまにあり、こちらも帝国機関が拠点に置いている。沖縄警備隊区は作中から2年後の1918年に「沖縄連隊区」となり、後に沖縄戦と大きく関わる組織となる。



警察署

沖縄県警察部の管轄。那覇区の東町にある。上層部は殆どが本土の人間。こちらも沖縄戦で大きく関わる組織である。



沖縄県立沖縄図書館

沖縄県立図書館の前身であり、現在の県庁辺りにある。1910年に設立し、郷土史料を集めている。1916年現在、伊波普猷が館長を務めている。




沖縄県立高等女学校・沖縄県女子師範学校

主人公達が潜入する学校であり、当時の真和志村安里(現那覇市安里)にある沖縄で最初に設立された女学校。

1900年の6月20日に私立沖縄高等女学校として首里に創設される。

1908年、真和志村安里に移転。作中から3ヶ月前に沖縄県女子師範学校と並置となり、内ゲバが起こっている。

師範が全島から来る秀才であるのに対し、こちらは那覇・首里からの良家の子女を始め寄留商人や県庁の役人の娘達が多く通っていた。

1928年に県立第1高等女学校に改称。1943年に沖縄県女子師範学校が官立沖縄師範学校女子部となる。

実はあの「ひめゆり学徒隊」として有名な学校であり、多くの生徒達が戦争で犠牲となり、1945年に沖縄戦で廃校となる。

戦後はアメリカ軍が占領したのを得て、校内の敷地の1部は栄町市場となっている。ちなみに、作中では「ひめゆり」という名称はそこまで浸透しておらず、県立高等女学校に至っては「沖縄の学習院」と呼ばれている。



沖縄県立第1中学校

作中で小野寺海音が潜入し、金城朝永や橋口詔人が通っていた学校。

尚温王が創設した国学が前身。当初は沖縄尋常中学校と呼ばれたが、那覇高校の前身である2中ができたため、次第に1中と呼ばれる。

伊波普猷・普成兄弟が通った中学校でもある。1894年に漢那憲和をリーダーとした尋常中学ストライキ事件が起こり、漢那憲和や伊波普猷はこの事件が原因で退学処分となった。

後に1中鉄血勤皇隊として多くの生徒が沖縄戦で亡くなる。戦争で一旦廃校になった後、直接的な流れでは無いが、跡地に首里高校という男女共学の学校として存続する。「ちゅらさん」の主人公恵里が通う高校のモデルである。



沖縄県師範学校

石垣ホクリが通っていた学校。女子師範学校同様、教員を目指す学校であり、全寮制である。制度は時代によって異なるが、作中の時代は高等小学校対象者の本科第1部(4年制)と予備科(1年制)中学校卒業を対象とした本科2部(1年制)がある。(ちなみに女子師範学校で本科2部が設立されるのは作中から9年後にあたる1925年から)

1880年、那覇の西村にあった県庁内に設立された会話伝習所が起源であり、同年には「沖縄県立師範学校」が設立された。

ちなみに付属小学校は伊波普猷が卒業しており、恐らく弟の月城も同校に卒業したとされている。

1886年に沖縄県尋常師範学校となり、1920年に本科第1部の上級生は自宅通学が可能になる。1925年に本科1部が5年制に延長し、予備科が廃止になる。1931年に本科2部が2年制になる。

1943年に官立「沖縄師範学校」となり、こちらは男子部となる。本科 (3年制、中等学校卒業者・予科修了者対象)と予科 (3年制後に戦時短縮で2年制、高等小学校卒業者対象) を設置する。

こちらも「鉄血勤皇隊」が結成された学校の1つであり、生き残りには大田昌秀元県知事や外間守善がいる。

また、本土の師範学校と違い、戦後はアメリカ統治下となったため、後進校を持たずして廃止された。




首里区女子工芸学校

安冨祖麗奈が潜入していた学校。首里城内にある学校であり、こちらも1900年創立。作中では3年制の学校であり、こちらは5教科を学ばず、修身・国語・算術・理科・図画・機織・染色・裁縫・養蚕・洗濯・手芸を学ぶ。

1921年に 首里区が首里市になったことに伴い、首里市立女子工芸学校に改称する。1934年には桃原に校舎を移している。

1936年に沖縄県に移管され、沖縄県立女子工芸学校に改名。1943年に「沖縄県立首里高等女学校」という4年制の女学校となり、こちらも「瑞泉学徒隊」として編成され、沖縄戦で多くの生徒が亡くなる。



沖縄県立第2中学校

1中から分かれた学校。当初は首里にあったが、1916年に現在の嘉手納中学校がある場所に移る。県立農学校と揉めてストライキ事件を起こしている。1919年に那覇の楚辺に移り、瀬長亀次郎や名渡山愛順などが在籍する。

沖縄戦でこちらも2中鉄血勤皇隊が生まれるが、戦後は那覇高校になる。作中では名前のみ登場。

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