第22話

光希が何か言っている。

「オッタチカタバミ」

「えっ? なに?」


光希は、黄色の花を咲かせた雑草を指差した。


「あぁ、あの草の名前だろ」

「えっ? そうなの?」

「淡路島に住んでから植物に興味を持つようになったんだ」


光希は、あちこち指差しながら草花の名前を言い始めた。


「子供は、興味を持つものを自分で探すよ。

俺も小さい頃からブロックで家を作ってたからね。

光希も必ず好きなものを見付けて夢中になるさ」


奈央は陽介の言葉を思い出した。


『息子をれる、じゃなくて、息子がはいる、だろ。

大事なのは光希の意思だ。奈央が決めることじゃない』


あの言葉の意味がやっと解った。

光希にも後悔しない人生を歩んでほしい。


親がれる『お受験』じゃなくて、自分で受験に挑んでほしい。


私もよく考えて行動しよう。同じ失敗は二度としない。


奈央は、新天地の淡路島に思いを馳せた。


                      (おわり)

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お受験地獄に堕ちた女 かげやま あづさ @k-azs

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