第6話『ギルドからの刺客』(1/2)

くぅじーは目覚めた。

「知らない天井だ」

しかし、簡素なベッドに毛布がかけられていた。

「おや、お目覚めですか、聖職者くぅじーさん」

初老のおじさんが声をかけてきた。

「あなたは?」

いきなり自分の名前を呼んできた老人を警戒しながら訊ねた。

「あなたが路上で寝ている所を、ここまで運んできたんですよ」

「昨日のあれが原因か」

それもそのはず、くぅじーは夜に喉が渇き、間違えて酒を飲んでしまった。

『ああ、ちきしょ呑んじまったよ、どうせ寝ても寝付けないだろうし、このまま酔うまで飲んでしまえ』

と、そのまま酒屋に行くと、肴と酒をツケで買い込み、自室で酒盛りを始めた。

「ああ、やっちまったぁぁぁぁっぁぁぁ!!」

叫んでも、時すでにおすし。

「まあ、お兄さん、しばらくここで休むといい、職が無いなら探すが?」

『ふむ、ここまでは良いとしよう』

「ああ、よろしくお願いします」

そして老人は部屋を出て行った。

「さて、少し酔いがあるし、酒でも飲んで寝るか」

ふらつく足で酒屋に行き、昨日の酒と、肴をツケで買った。

くぅじーはさっきのベッドに戻って、早速酒盛りを始めた。

数時間も呑んで食ってすると次第に目がトロンとしてきて、くぅじーは酒瓶を抱いたまま、深い眠りについた。

「さて、やっと寝てくれましたか」

さっきの老人が機会を見計らったように出てきた。

「悪く思うなよ、聖職者様」

くぅじーの指に赤い着色料を塗って、銀色の板に押し当てた。

「後は起きるのを待つのみ」

老人も椅子に座り込んで寝てしまった。

そのままくぅじーは眠り続け、まだ外が薄暗い朝に起きた。

「ぷえ?ここりゃ、どこにゃ??」

呂律が回っていない。

「おや、起きましたか、聖職者様」

「ん、おはよう」

「まずは、顔を洗ってきてください、それからお仕事についてお話しします」

くぅじーは顔を洗いに出て行った。

「さて、あの男はどれだけ使えるかな」

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広報官として勤務していたら異世界に飛ばされた件について ESMA @ESMA1456K

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