未来視少女がお兄ちゃんのために頑張る話。

霧朽

未来視少女がお兄ちゃんのために頑張る話。

 私にとっての現実っていうのは、昔――それこそ赤ちゃんの頃から、夢で見た景色が繰り返されるだけだった。

 つまり、死ぬほどつまんないってこと。


 それでも、楽しいことはあった。

 アニメとか、ゲームとかの、何回見直しても面白いもの。

 そういうものの中には私と同じような能力を持って、未来を変えようとしたり、能力を捨てたり、能力に救われたりする人たちがいたけれど、その誰もが生を楽しんでいた。


 私と同じような能力を持っていても、まるで私とは違った道を歩む彼らに憧れないわけがなかった。


 つまり……。


―――

――


 引きこもりオタクの一丁あがりってワケ。

 一応、弁明をしておくと、未来視があるからって余裕ぶっこいて、こうなったわけではないよ?


 なんなら、未来視はコントロール出来るようになってからは、あんまり使っていない。

 つまり、ただの社会不適合者って……コト!?

 未来視のコントロールが出来るまでの十数年間をsubculture(バリうま英語)に捧げた者の末路だよね。……そう思うと、未来視のせいとも言えるな?


 けど、未来視に助けられたこともあるから、あんまり悪くも言えないというジレンマ。

 具体的に言うと、株とかッスかね……。

 ……我が親愛なる兄上の治療費の為だから! やめて! そんな目で見ないで! それ以外じゃあんまり使ってないから!


 今日の夜ご飯なんだろなーって視るくらいだから!

 ……ガチャ引いたら、どうなるとか視てないよ? ハハハ、ホントホント。

 漫画やアニメの世界なら、この能力で皆を救う! みたいな使い方もあっただろうし、私だってそういう使い方に憧れなかったわけじゃない。


 けどさあ……。私にゃ無理があるよ。精々がカルト宗教止まり。

 一回だけその未来を視たことあるけど、酷いもんだったよ?

 気持ち悪いったらありゃしない。


 という訳で、そっち方面での未来視の使用はなし!

 だから至って健全な使い方をしているワケですよ。異論は認めない。

 私はXなんて認めないからな! ……それはイーロンってな! ガハハ!


 とかなんとか言ったところで、本題。

 例え社会不適合の引きこもりだとしても、死ぬ気で頑張らなきゃいけないときっていうのが、一生に一度くらいは来てしまう。


 何が言いたいかと言うと、その死ぬ気で頑張らなきゃいけないときってヤツが、一年後に来るよって話。

 具体的に言うと、よく分かんない戦争のせいで、おにぃを含めたこの町の人間の大半が死ぬことになる。


 おにぃを殺すとか許せる訳がないよね。具体的に言うと、ガンジーが勢いよく核発射ボタンを押すレベル。


 そんなわけで。


 私がおにぃを救って、あわよくばヨシヨシされ……。ん゙んっ! 私がおにぃを救うお話、始まりやす。


 おいそこの「理由がないと甘えられないって、理由がないと人と話せない陰キャかよw」って言ったやつ!! おめー絶対ハゲるからな!!!


―――

――


 で、カクカクシカジカありまして。


「そっか、たくさん頑張ってくれたんだね。ありがとう」


 私は今! おにぃに!! 頭を撫でられ!!! よしよしされている!!!! Fhoooooooooooo!!!!!

 SAN値が減りそうなタコ面が出てきたり、未来視と全っ然違う未来になったり、よくわかんない異能力バトルが始まったり、ゲームのデータが飛んだりしたけど、これで報われるってもんよ!


 あ゙あ゙ぁ゙〜、幸せなんじゃあ〜。

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未来視少女がお兄ちゃんのために頑張る話。 霧朽 @mukuti_

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