俺は酔うとテンションが高くなるタイプだ。

ひとりで缶を開け、喉を鳴らす。

そのあと、吸いすぎた息を放出し、

「うんまっ!!」

と短いが的確な感想をひとつ。

やっぱ、酒は賞味期限長いし、いつ飲んでもうめぇから、ストックしておくべきだよな~、なんて思いながら、もう一度喉を鳴らす。

やっぱ美味い。

…酒を臭み取りじゃなくて、味のアクセントとして使ったら、どうなるのだろうか。

そんな疑問も生まれたが、このままだと酒がぬるくなるまで酒メニューを考えてしまいそうなので、ここらで打ち切っておこう。

いやはやしかし、どうゆうことか、ゴールがないに等しい残業、無能上司の尻拭い、会社に対する不満への対処、そんでもってこんな職場に派遣された可哀相な後輩たちの世話。

これらをどんなに卒なくこなそうと…。

給料が一向に上がらないッッッッッッ

いや、重要だろこれ。

学生時代の目標が「ローリスクハイリターン」だったクソガキ(俺)がだぞ?????

今やウチの給料、最低賃金ギリギリ、ボーナスもないに等しいくらいだぞ?????

これじゃあ「ハイリスクローリターン」じゃねぇか。

腐った狸どもめ…。

こんなことなら、多少抵抗があっても、地元の中小企業にでも就職しておくべきだったか…。

無理してこんな都会に出てくるべきじゃなかったのかもな…。

知り合いも居ねぇ、上司はクソ、家賃は高い、物価も高い、低い給料のせいで生活もカツカツ。

それに比べて、地元だと、学生時代の馴染みが居るだろうし、上司っつっても元からの知り合いだろうし、実家住みだと、家賃も半持ちで済む、近所のおばちゃんらが野菜やらなんやら、新鮮な食材をくれるだろう。

満員電車に乗るか、自転車で汗をかくかで毎日の通勤方法を悩まずとも、おじちゃんたちがトラックで送っていってくれるだろう。

……やはり地元が一番かもな。

そして、できた余裕や有休を使って、メシ巡りを堪能する。

いいじゃないか。この人生設計!!!!!!

そうと決まれば、辞職届でも出して、今からでも地元に帰るか…?

いや、上司が有能な俺の辞職届を受理するとは思えん…。

とことんクソだなあの上司…。

いかんいかん!!!!

せっかくの酒が、上司のせいで不味くなってしまう…!!!

もう今日はアイツの話は終わりだ!!!!

猫でも見て癒されながら寝よう…。

そうだ、明日は出勤要請があろうと無理やりにでも休んで、明後日は辞職届を上司の机に置き、荷物をまとめて帰るんだ。

後輩たちや同期たちには少し申し訳ないが、俺はもう我慢の限界だ。

よし。


会社を辞めよう!!!!!


そうと決まれば!!!!

飲むぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!!!!













――――結局寝る前には、350ml缶が、七本ほど転がることになっていた。

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社畜飯 RiR @otk-writer

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