とあるふたりのとあるいちにち。
第1話 お城の朝を、神の声がお届けします♡((((
朝のお城はいつもにぎやか。
きょうはどんな声が聞こえてくるかな。
「ひめさま!起きてください!遅刻してしまいます!」
「んんぅ?あとごふぅ…」
優しい朝の陽ざしに包まれながら、紺色の髪に制服姿の執事くんに起こされる、薄紫の髪にパジャマドレス姿のお姫さま。
でもまだ眠くてぽわぽわしてるみたい。
「ひめさま!今寝たら絶対起きられませんよ!?」
執事くんは自分の八重歯を覗かせながら精一杯起こすけど、お姫さまは全く起きてくれない。
「んぇ~?しぃらなぁいもぉん…。」
でも、寝起きのお姫さま、まだ寝ぼけてて、口調が幼くて、かわいいね。
「んへへ、あせってるえん、かぁいぃねぇ…。」
寝ぼけてるお姫さまはご機嫌だから、リズムに乗って執事くんのことをかわいいって爆弾発言しちゃった。
そんなことしたら、
「~~~~ッッッ…」
あ~あ。執事くん、お姫さまだいすきだから、照れて赤くなっちゃった。
でも、ぽわぽわお姫さまにとっては、それもかわいいみたい。またかわいいって言っちゃった。
執事くんは照れ隠しで、
「いい加減起きないと朝ごはん抜きで遅刻しますよ!!!!」
って、思い切りお姫さまのお布団引っぺがしちゃった。
「んぁ?おはようございます。…エン…?」
やっと起きたお姫さま。
真っ赤な執事くんを不思議に思ったみたい。
心配そうに問いかけてる。
「体調でも悪いのですか?お顔がまっかっかです。」
熱を測ろうとお姫さまは執事くんのおでこに手を伸ばす。
それを執事くんはバックステップでよけて、
「ひめさまが全く起きないからです!!!早くしないと本当に遅刻しますよ!!!」
って、また八重歯を覗かせて叫ぶ。
「えぇ!?私そんなに起きなかったですか!?ごめんなさい!!」
眠気が吹っ飛んだいつものお姫さまは、素直で賢い。
だから、ぽわぽわモードが終わったお姫さまに、執事くんは一安心。
「料理長に車内で簡単に食べられる軽食を作らせますから、身だしなみを整えてください。いいですね?」
慌てるお姫さまに冷静に指示を出す。
お姫さまはその姿を
(かっこいいなぁ…。)
なんて思いながらも、のんびりしているとまた怒らせちゃうので、急いで執事くんとおそろいの服(制服)に着替えます。
そう。ふたりは同い年の国立学園高等部の一年生。
しかも幼いころからの付き合い、おさななじみときたら、もうそれは家族同然みたいなもので。
でも、執事のエンくんは、セレネさまのことを一向に名前で呼ぼうとしないので、セレネさまは少しもどかしそう。
(エンは私の気持ちなんて、知らないんでしょうね。)
おや、セレネ姫のエンくんに対する愛情は、家族としてだけではないみたい?
(あんな顔、反則だろ…////)
…エンくんも同じみたいですね。
ふふっ。これからおもしろくなりそうです。
でも、このままのろけてると、ふたりとも遅刻しちゃいますよ?
-な+お姫さまと+な-執事くん。 RiR @otk-writer
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