最終話:ベルの活躍の巻。

ある日、わたるが勤務する派出所の近所の一般民家で盗難騒ぎが起こった。


被害にあったのは5軒、全家同じ手口で家の中を物色されてお金や貴金属などが

盗まれた。

当然、犯人逮捕に向けて警察が動きはじめた。

もちろん渉も操作に参加していた。

だけど窃盗犯は案外用意周到で、防犯カメラにもその姿は写っていなかった。

現場検証でも犯人を特定できるような証拠もでなかった。


警察もお手上げ・・・犯人は浮かび上がらず焦るばかりの日々が続いた。

渉の帰りが遅い時はベルも母親も心配した。


渉がくたくたになって帰ると、さっそくベルからの質問。


「ワタル、最近帰りが遅いけど・・・なにか大きな事件に携わってるの?」


「ベルには関係ないことだから・・・」

「それよりワルワルい異星人捕まえに行ったら?」


「それはいいの・・・」

「私に話してみて?・・・なにか役に立てるかもしれないよ?」

「これでも私、魔法使えるしなんて言っても婦警さん志望だから」


「・・・・だけどベルを危険に晒したくないし・・・」

「殺人事件とかじゃなくても窃盗だからって侮れないからね」


「窃盗?・・・相手は泥棒さんなの?」


「泥棒にさんはいらないからね、ベル」

「今はね、証拠がまったくなくて、お手上げ状態」

「昼間の検問や夜の近所の聞き込みもしてるんだど手がかりなしなんだ」


「私をどなたかの窃盗現場に連れて行ってくれない?」


「なにしようっての?」


「魔法と科学の癒合だよワタル」

「もしかしたら泥棒さん、見つけられるかもかも・・・」


「まじで?・・・どうやって?」


「ニューベルンリングを使って」

「この指輪、アフターイメージ・リプロダクション・デバイス「残像再生装置」って

機能も備えてるの・・・」

「この指輪で窃盗にあったお家の中を照らしたら泥棒さんの残像が見えるんだよ」


「え?そうなの、まじで?・・・犯人の顔も分かるの?それ」


「分かるよ・・・映し出された残像はデジタル保存できるからPCにデータを

移しちゃって再検証だってできちゃうから・・・」


「本当にそんなことできるなら、それすっげえ指輪」


「ね、だから私を現場に連れてって」


「なら、それって僕が持って行って使ったらいいんじゃないの?」


「ダメって言ったでしょ?・・・ワタル魔法使えないでしょ?」


「あ、そうかベルそんなこと言ってたね」


「科学と魔法の融合って言ったでしょ」

「この指輪は魔法使いの私しか使えないの」


ってことで僕はベルを連れて窃盗に合った一軒のお宅を訪ねた。

一応事件の操作だってお断りして現場を調べさせてもらった。


ベルは部屋の中を指輪の光で照らした。


そしたら映ったね・・・犯人が・・・いや犯人たちが・・・

泥棒は三人、一通り部屋中を移してそれを警察のPCに移して映像を再確認した。

窃盗の痕跡、そして犯人の顔もちゃんと映っていた。

そこですぐに指名手配書が全区域に回った。


指輪が映し出した手配画像を参考に一週間も経たないうちにタレ込みや聞き込み、

警察の懸命の操作によって犯人は確保された。


下手すると迷宮入りしかねた窃盗事件・・・ベルのおかげで事件解決にいたった。

だからベルには感謝しても仕切れない。


犯人逮捕に協力した功績によってベルは警視総監から表彰された。


僕もベルに何度もお礼を言って、焼肉を食べに連れて行ってあげた。

女の子は焼肉大好きだからね。


で、派出所の先輩の「五十嵐さん」に言われた。


「おまえの彼女やるな〜って・・・」


いつの間にかベルは完全に僕の彼女にされていた。


このさい僕の彼女でいいや。

でも逆に僕はベルから焼肉とは別に欲しいものがあるって言われた。


「なに?ベル・・・焼き肉だけじゃ足りないの?まだ欲しいものがあるの?」


「うん・・・私のお願いごと聞いてくれる?」


「まあ、僕にしてあげられることなら・・」


「じゃ〜私の彼になって?ワタル」


「え?・・・彼氏?」


「私が彼女じゃいや・・・こんな異星人とじゃ付き合えない?」


「そんなことないよ・・・大丈夫だよ」

「って言うか五十嵐さんなんかもう勝手にベルのこと僕の彼女にしちゃってるもん」

「だから僕、ベルの彼氏になるよ」


「ほんと?・・・よかった・・・大好きだよワタル」

「うん、僕も・・・じゃ〜たった今から僕とベルは恋人同士、それでいいね?」


「いいよ〜、またふたりで事件解決してこうね・・・ね、ね、ね〜」


「ワルワルい異星人をとっ捕まえに行かないの?宇宙のヴァルハラ?ってところに

連れて行くんだよね」


「事件解決してこうね〜ワタル・・・ね〜ってば!!」


「うそ〜無視?」


まあそんなこんなで僕とベルはその後も僕の出世のため、この世界をワルワルい

異星人から守るため魔法の指輪を使って事件を解決し行くことになるのです。


ベルと恋人同士のなった僕はもうベルに自分の星に帰ったら?なんて言えなく

なった。

たとえば喧嘩でもしてベルがノルニルに帰っちゃったら地球の裏側と遠距離恋愛

なんてできないもんね。


おっしまい。

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星のワルキューレ。☆ 指輪の魔法使い ☆ 猫野 尻尾 @amanotenshi

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