第19話
空を見上げるとまた風鈴が鳴いた。ガラスの中央にぶら下がった短冊が遅れて靡く。あたしは薄れゆく夏海の面影を瞼の裏側に焼きつけながら、無性に圭吾の温もりに触れたくなった。
幸せになれ。
夏海が願ってくれたように、今度はあたしが夏海の未来を願うよ。
-End-
彼岸花【完結】 ナナセ @dependence_nana
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