第6話:ミスターにとっては一大イベント。

どうもミスターが私とのセックスをずっと躊躇ためらってたのには、それなりに理由があったみたい。


って言うのも、もし私とエッチしたあと、自分の身になにかったら

たとえば交通事故であの世にいっちゃうとか、そんなことになったら

私を傷つけたまま、責任とれなくなっちゃうだろって。


私が一人になって、新しい彼氏ができたら、無垢のままの体でいたほうが

いいだろってミスターは考えてたみたい。


聖人みたいな人だよね。


でもそんなこと、いちいち心配してたらキリがないでしょって言ってやったの。

死んじゃうことなんか考えないで私と一緒に生きることを考えてって・・・。

そうしないと一生悔いが残るよって。


私にそう言われたからなのか、ミスターは性教育の本を買ったらしい。

ようやくミスターも決心がついたのかな?。


でもね、なにが問題って・・・ミスター・・・へたっぴ。

慣れてる男子とは違うと思うから仕方ないよねって思ったけど、あまりに

もたついてる・・・へたっぴ。

なにもかもはじめてのことだとしても・・・。


性教育の本はやっぱりただの知識・・・なにごとも実践を積んで習得して行くもの

だよね。

ミスターは知ってか知らずかクンニ、クンニって言ってるし前戯って大切

だよな?ってなんかこだわってるし・・・。


一応は前戯・・・愛撫はしてくれた・・・それも本のとおり。

でもなにも感じない。

してはもらったけど最初っからそんなこと恥ずかしいったら・・・。


でついに合体・・・を試みたんだけど・・・。


「ん〜ミスターなにもたついてるの?」


「いや〜つうか場所がね・・・雨野君の大事なところさ」


「どこに入れようとしてるの?・・・そこお尻の穴だよ」


「ここ・・・ここだよ」


で、なんとか合体。


「シッ・・・ツ〜」


「えっ?どうしたの?雨野君」


「いった〜いん・・・ミスター」


「え?痛い?・・・どこが?」


「決まってるでしょ・・・ゆっくりよ、ゆっくり、優しくして」


「わ、分かった・・・」

「って雨野君、初めてじゃないんだよねセックス」


「なに言ってるの・・・はじめてに決まってるでしょ」


「あ、そうなの・・・僕はまた雨野君とっくに経験あるのかと思ってたよ・・・」


「経験あったら性教育の本なんか読まないよ」


「あ、たしかに」

「なんせ僕も初めてのことだから・・・ごめんね」

「あ、そうだ〜こんな時のために買っておいたんだ」


そう言ってミスターは何かを持ってきた。


「なにそれ?」


「え?これローションって代物・・・潤滑油」

「ちゃんとできなくて、失敗で終わっちゃうカップルもいるから用意して

おきましょう〜」


って本に書いてあった。


性教育の本が少しは役に立ってるんだ。


そんな訳で、私とミスターはゆっくり優しくようやくドッキングに成功。

無事、結ばれました。


つかの間のランデブー。

でも、ちっとも気持ちよくないし・・・終わってみたらこんなもん?って感じ。

でもミスターと結ばれたんだって喜びとちょっぴりの切なさとアンニュイな気持ち

・・・が入り混じった複雑な面持ち・・・理由は自分でも分かんないけど・・・。


とりあええず第一歩クリアだね。


最初はね、ミスターの要求にちょっと恥ずかしいってこともあったけど

その恥ずかしいってことが快感に変わっていった。

ミスターは、そうやって努力する人だから教授にまでなれたんだね。

ただ虫追っかけてるだけの、おじさんじゃないんだ。


私も、もっと美味しい料理つくれるよう勉強、努力しなくちゃね。

ね、ミスター。

自信もって・・・上手になってるよ、セックス。


おしまい。

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ミスターと私の秘密。*私を捕まえて* 猫野 尻尾 @amanotenshi

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