情報
目を覚ますと身体は綺麗にされており、服も着させられていた。
あの出来事は夢かと思えば、拘束されていた両足手首の跡が現実だったと知らしめられる。
まだ体はほんのりと熱を持っている気がする。
「起きた?」
まだ体は起きたくないというのにその声でぼんやりとしていた意識も鮮明になる。
「…だれ…」
「私香織。翔様も悠斗様も丁度忙しいみたいで少しの間見ているように言われたの」
見知らぬ女は優しく微笑む。
長くふわっとした髪の落ち着いた女性。
私より1つか2つくらい上だろうか。
服はほぼ全裸に等しく、秘部を隠すどころか強調するように穴が開いている。
あの二人を様付けしている辺り、この女の人は商品なのだろう。
「私は清花。香織はいつからここに?」
「私は半年くらい前かな。清花はどうしてここに来たの?」
「連れてこられた…ってか誘拐」
「そうなんだ…ここから出たい?」
「っ出られるの?!」
思いもよらない言葉に飛び起きる。
「んっと…出られない。出たいのかなって聞いただけなの。がっかりさせてごめんね」
「そ、そう…」
申し訳なさそうに言う香織。
私は再びベッドに横たわる。
「出られない…けど、少しでも楽に生きる方法なら教えられるよ」
「楽に生きる?」
「まず私達は商品。だからお金は惜しまない。高いアクセサリーやバッグとか服とか。言えばなんでも用意してもらえる。私達のご機嫌取りはほぼなんでもしてくれる」
「外に出たい、は?」
「入って長い人とか抵抗しないって信用を得られれば監視付きだけど出ることもできるらしいよ。あとはお客さんの相手をしている時以外は基本自由。何をしていてもいい。あ、でも最初の教育期間はあまり自由時間はないかも」
「そうなんだ…」
「ただ、私達商品が従順であることが絶対条件。客を取れなければ商品価値はない。商品価値がなければ自由もない」
「…」
「抵抗すればしただけ教育期間が延びる。だから早めに諦めて壊れた方がいいよ」
「壊れる…?」
「男を見ただけで涎を垂らして喜ぶ犬になるの。それを幸せだと思えるようになればここはもう天国だよ」
笑顔で当然の様に語る香織はどこか虚ろな目をしていた。
私もいずれこうなるのか…
嫌じゃないかと言われれば嫌だが、他に選択肢もない私は特に取り乱すこともなく淡々と話を聞いていた。
「教育係で一番優しいのは翔様だよ。悠斗様は無理矢理快楽を教え込むスタイルだから身体が辛いし、迅(じん)様は少し乱暴かな。雷様はまだお相手してもらった時ないけど下手くそって噂。景光(ひろみつ)様は…やばいらしい」
「やばい?」
「私も詳しくは知らないんだけど…」
ガチャ
香織の話途中で扉が開かれる。
そこには悠斗が立っていた。
後ろには黒服にサングラスのガタイのいい男が2人。
「戻った」
「悠斗様っ!!!」
香織は目の色を変え悠斗の方へ飛んでいき足元に跪いた。
何事だと困惑しているのは私だけのようで。
「体調は」
「え…あ、大丈夫」
何事もないように悠斗は私に話しかける。
自分の足元には香織が跪いているというのに。
「連れていけ。褒美は翔から貰え」
「はぁはぁ…ありがとうございますっ」
嬉しそうに悠斗を見上げる香織の秘部からはだらだらと愛液が流れている。
この短時間にどうしてそうなったのだと、心配になるレベルだった。
香織は黒服の男2人に連れられ、部屋から出ていく。
そして扉の向こうからは鍵が掛けられる音がする。
「お前も直にああなる」
香織の豹変ぶりに唖然としていると悠斗が私に告げる。
「…」
「主人と教えられた男に服従をし、従順な雌豚に成り下がる。与えられるのが痛みだろうがそれを嬉々として受け入れる。そう育てるために俺らがいる」
「そう」
「抵抗するだけ無駄だから」
「しないよ。好きにしたらいい」
「生意気」
微かに笑い悠斗は近づいてくる。
私は逃げるでもなく近づくでもなくじっと悠斗から目を逸らさず見つめた。
悠斗の手が伸びてくる。
それでも目は逸らさない。
逸らしたら負けだと思った。
何と戦っているわけでもないが。
悠斗の指が私の唇に触れる。
「私キス嫌いだから」
「キスなんか教育に必要ない。必要のないことはやらない」
「そう」
やっぱりね、翔もしてこないと思った。
商品にキスなんてする必要ない。
スッと悠斗は私から離れる。
「飯食ったらまたやるぞ」
そう言って先に目を話したのは悠斗からだった。
またあの時間が始まるのか…。
今度は拘束なしがいいな…。
なんて考えながら悠斗の後を追いかけた。
甘い蜜 優白 @masiro_love18
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