第8話
なわけもなく……。
「乗るよっ、アネモネ!!」
「ちょっ、引っ張らないでっヒマワリッ」
「って、なんでアンタまで乗る!?」
鬼神がバスに乗り込んできた。
「用事があるからです。それに愛する」
いつから愛するになった!!
「アネモネの側を離れるわけにはいきません」
「鬼瑠さん……」
「アネモネ……」
「運転手さーんっ。出して下さーいっっ」
幸いバスに乗ってるのはあたし達だけ。
アネモネを後ろの角に座らせ、その隣に座ったあたしは運転手さんに向かって叫んだ。
そして最寄りのバス停に着き……
「何故アンタも降りるっ」
「用事があるからです。それに」
「はい、もういいです。アネモネ!帰るよっ」
「ちょっヒマッ!!もうっっ」
「あの、お聞きしたいんですが」
後を付いてくる鬼神。
「何!?」
「何?鬼瑠さん」
「貴女方の名字は?」
名字?
「「志麻」」
アネモネと声がハモる。
ハッ、素直に答えてしまった!!
「ああ……。戻ってこない亡者は、貴女方のお祖父様ですね」
「「えっ!?」」
じいちゃん!?
じいちゃん、亡者だったの!?
って、じいちゃんのせいかーっ!!
コイツに出会ってしまったのはっ!!
「「じいちゃん??」」
アネモネと顔を見合わせる。
じいちゃん……?
何悪さしたのさ……。
「さぁ、アネモネ。御両親に挨拶させて下さい」
「鬼瑠さんっ」
「じいちゃんはっ!?」
「些細なことは後回しです」
「些細って……」
じいちゃん……。
って、挨拶!?
「金棒持って!?」
いつの間に!?
反対されたら殺すってか!?
「心配しないで下さい。お姉さん用です」
「心配しかないわっっ」
あたし用って、なんだ!!
こんなっっ、こんなっっ義弟なんて嫌だー!
「運命ってあるのね、鬼瑠さん」
「アネモネ。貴女に出逢えて、私もその言葉が信じられます。お祖父様が5分遅れてくれたお陰ですね」
じいちゃーーーん、こんにゃろーーっ!!
来年はじいちゃんはお迎えしないっ。
「アネモネ……」
「鬼瑠さん……」
「許しませーんっ!!」
あたしは絶対に許さないんだからね!!
父母もきっと!!
「お姉さん……?」
「金棒を振り上げるなっっ!!」
「鬼瑠さん、カッコいい!!」
「アホモネ!!」
たった5分間。
でも5分もあれば何が起こっても不思議じゃない。
それが鬼神と人間の恋でも……。
「絶対に認めないけどねっ」
「あら!こんな良い男、母さんは賛成よ!」
「父さんも。死後、天国だって」
「!?」
「鬼瑠さん!!」
「アネモネ!!」
「抱き合うなーっ!!」
うちの妹がっっ[完]
うちの妹がっっ[完] めけこ @mekeko-427
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