読書断念3:地の文と登場人物との「差」が激しすぎる
私が読み進めるのをやめた話、その3です。今回は「地の文と登場人物との〝差〟が気になりすぎて読了を断念した」という内容ですね。
ちなみに、この『読書断念シリーズ』は、私が過去に投稿したものを再編集したものとなっております。原文は下記にございます。これの投稿日や編集日をご覧になれば、「本企画の参加作ではない」ことがおわかりになると存じます。
https://kakuyomu.jp/works/16817330664120023812/episodes/16818093075500198816
小説という形式の作品において
基本的に「地の文」は作品を読む上で最も長く付き合う要素ですので、なるべく読者さまにとって「読みやすい文章」に仕上げておく必要があります。
今回、私が読み止めてしまった要素は、その「地の文」が原因でした。簡単に「その作品」の概要と、拝読を断念した詳しい理由についてお話しさせていただきます。
その作品は「男子高校生」を主人公とした、いわゆる「学園モノ」と呼ばれるジャンルでして、三人称視点の語り口によって描かれておりました。
さらに細かく分類すると、主人公など特定の人物にフォーカスした「三人称一元視点」という形式であったように思われます。
作中では主人公ら「高校生」が、学内で起きた「ある謎」の解決に挑むという展開が主として描かれており、内容そのものは非常に面白かったです。私は元々ミステリ好きということもあり、謎解きモノは大好物ですからね。もしも、この作品の主人公が「高校生」でなければ、読了後に大絶賛していたでしょう。
――では、いったい「なに」が私に合わなかったのか?
高校生が駄目だったのか?――いいえ、学園生活が主な舞台である以上、高校生が主人公である必要はあるでしょう。そう、前述のとおり「地の文」が原因です。
なんと申しますか、地の文が「賢すぎた」んですよね。聞いたことのない単語や、難読漢字のオンパレード。常に辞書を引きながら読み進める必要があったのです。
もしも主人公が「高校生」ではなく「熟年の刑事」だったり「初老の探偵」などであれば、違和感なく読み進めることができたでしょう。たとえ「辞書を引きながら」であっても、です。こうした年配の主人公ならば「こうした言葉を使いそう」だと納得ができるからですね。むしろ「この作品は勉強になる」と、辞書を引くことがプラスに作用していたでしょう。
しかしながら、今回の主人公は「高校生」でした。しかも「ただの高校生」です。特に天才的な頭脳の持ち主だという設定はありませんでしたし、文芸部でもなくオカルト部です。〝「親からスマホの所持を禁止されている」〟という描写もありましたので、心身が自立しているわけでもありません。親の支配下にある「子供」です。そんな彼らの物語に、「古典純文学レベルの難解な言葉」が次々と出てくるのです。
そのため、私は辞書を引くたびに「ただの高校生が、こんな難しい言葉を使うかな?」と、作中世界とは別の方面へと意識を引っ張られ、まったく物語に没入できなくなってしまいました。
しまいには、作者が「こうした単語を読めない・知らない読者」を見下しているのではないかと感じるほどになってしまい、ついにページを閉じることとなりました。
作中の台詞や、作品独自の固有名詞には非常に高校生らしい、子供っぽさを感じる言い回しや単語が登場していたのですが、いかんせん「地の文」がガッチガチで。
もしかすると「高校生たちが作中で幼稚な会話をしているからといって、私(作者)まで幼稚だと思われたくない」という思いがあったのかもしれませんが、読者としては、心底「どうでもいい」ことです。
作者さまは当然ながら、柔らかい言い回しも扱えていたはずなのです。なのに、なぜか、地の文では――ご自身の
たとえ私が、これらの単語の意味を予め理解していたとしても、やはり「地の文の硬さ」と「ただの高校生の主人公」という
さすがに、これは断念せざるをえませんでしたね。物語そのものは非常に魅力的だっただけに、とても残念な経験となってしまいました。
このような感じで、私が拝読を断念した作品のお話をさせていただきました。あくまでも幸崎の好みの問題ですからね。どこかで該当作を見つけられましたら、是非ご一読を。「幸崎の感想はアテにならないな」と気づかれる可能性もありますが、それもまた本望です。読者さまが名作と巡り合えることを願っております。
それでは、今回は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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