読書断念3:地の文と登場人物との〝差〟が激しい
久しぶりの読書断念シリーズです。
――とはいえ、私が最近に読んだ作品のことではございませんからね。具体的な作品名がわからないよう、過去の記憶から順不同に抜き出しております。
それにここまで挙げてきた二作と今作は、いずれも
このシリーズだけをお読みになりたい方も居られるかと思いますので、なるべく余談は少なめにいたしましょう。
あくまでも「私・幸崎が苦手だと感じた要素」ということでお願いします。こうした作品を勝手に反面教師とさせていただき、自身の創作活動に生かすという意味合いも含んでおります。
◇ ◇ ◇
小説という形式の作品において
基本的に地の文は作品を読む上で最も長く付き合う要素ですので、なるべく読者さまにとって〝読みやすい文章〟に仕上げておく必要があります。
さて――。今回、私が読み止めてしまった要素は、その〝地の文〟が原因でした。ここからはサクッと、その作品の概要と、拝読を断念した理由についてお話しさせていただきます。
◇ ◇ ◇
その作品は〝男子高校生〟を主人公とした、いわゆる〝学園モノ〟と呼ばれるジャンルでして、三人称視点の語り口によって描かれておりました。さらに細かく分類すると、主人公など特定の人物にフォーカスした〝三人称一元視点〟という形式だったのかもしれません。
作中では主人公ら〝高校生〟が、学内で起きた〝ある謎〟の解決に挑むという展開が主として描かれており、内容そのものは非常に面白かったです。私は元々ミステリ好きということもあり、やはり謎解きモノは大好物ですからね。もしも、この作品の主人公が〝高校生〟でなければ、おそらくは読了の後に大絶賛していたでしょう。
――では、いったい何が引っ掛かってしまったのか?
高校生が駄目だったのか? いいえ、学園生活が主な舞台である以上、高校生が主人公である必要はあるでしょう。それでは何か? 〝地の文〟です。
なんと申しますか、地の文が〝賢すぎた〟んですよね。聞いたことのない単語や、難読漢字のオンパレード。常に辞書を引きながら読み進める必要があったのです。
もしも主人公が〝高校生〟ではなく〝熟年の刑事〟だったり〝元刑事の初老の探偵〟などであれば、違和感なく読み進めることができたでしょう。たとえ辞書を引きながらであっても、です。「この主人公なら、こうした言葉を使いそう」だと納得ができるからですね。むしろ「この作品は勉強になる」と、辞書を引くことがプラスにすら作用していたでしょう。
しかしながら、今回の主人公は〝高校生〟でした。しかも〝ただの高校生〟です。特に天才的な頭脳の持ち主だという設定はありませんでしたし、文芸部でもなくオカルト部です。「親からスマホを禁止されている」という描写もありましたので、心身が自立しているわけでもありません。親の支配下にある〝子供〟です。
そんな高校生らの物語に、古典純文学レベルの難解な言葉が次々と出てくるのです。
そのため、私は辞書を引くたびに「ただの高校生が、こんな言葉を使うかな?」と、作中世界とは別の方面へと意識を引っ張られ、まったく物語に没入できなくなってしまいました。
しまいには、書き手が〝こうした単語を読めない・知らない読者〟を見下しているのではないかとすら感じるほどになってしまい、ついにページを閉じることとなりました。
◇ ◇ ◇
作中の台詞や、作品独自の固有名詞は非常に高校生らしい、まだ子供っぽさを感じる言い回しや単語が登場していたのですが、いかんせん〝地の文〟がガッチガチで。
もしかすると「高校生たちが作中で幼稚な会話をしているからといって、作者も幼稚だと思われたくない」という思いがあったのかもしれませんが、読者としてはどうでもいいことです。
作者さまは当然ながら、柔らかい言い回しも扱えていたはずなのです。
なのに、なぜか、地の文では、ご自身の
さすがに、これは断念せざるを得ませんでしたね。物語そのものは非常に魅力的だっただけに、とても残念な経験となってしまいました。
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