真世界シリーズの裏話:その1

 最初に注意事項なのですが、この文書には政治的な思想に関する個人的な意見が含まれております。苦手な方はご注意ください。


 具体的には現在の左傾化社会に対する言及ですね。私にはこうした思想を否定する意思はありませんが、昨今のこうした風潮を是としておられる方には不快なものと感じられてしまう可能性がございます。そうした皆さまはくれぐれも、お読みにならないようお願いします。


 平和の基本は強制的に混ぜることではなく、互いを尊重し、住み分けることです。

 あなたも正しい。私も正しい。みんな正しい。何事も住み分けが重要です。

 よろしくお願いいたします。



 ◇ ◇ ◇



 さて本題です――。


 タイトルの〝真世界シリーズ〟とは〝ミストリアンクエスト〟を中心とした、私の作品群の総称ですね。高校生の頃から書き溜めてきたネタ帳のネタを礎に、少しずつ物語としての体を成してきた作品でもあります。物語としての輪郭を形成しはじめたのは、十数年前あたりでしょう。年月の経過は早いですね。


 そんなわけですので、この文書群には件の〝真世界シリーズ〟のネタバレが含まれます。とはいえ、あの作品は「この世界で主人公たちがどう生きるか」を描いた物語ですので、あまり問題はないでしょう。


 こうした裏話は当初、サポーター限定の話題として温存していたのですが、限られた人にしか周知できないという状態は〝遺作〟を目指す私の主義にも反するので、ここに記したいと思います。


 ◇ ◇ ◇


 まずは〝真世界シリーズ〟がどんな物語かと申しますと、「遠い未来、地球に住めなくなった人類が、異世界へ移住する物語」ですね。とてもシンプルです。


 当初は〝ミストリアンクエスト〟という一つの作品に集約する予定だったのですが、あまりにも壮大な内容になりすぎたために、時系列に沿って大きく三つに分けることとなりました。


 具体的にはミストリアンエイジ、ミストリアンクエスト、そしてもう一つはまだ未発表の作品ですね。現在連載中のミストリアンエイジの完結後、いずれ投稿したいですね。ミストリアンクエストは生涯書き続けるつもりですので、完結予定はございません。



 この真世界シリーズ、ジャンルとしては紛れもなく異世界ファンタジーなのですが、性質上かなりSF的な側面も強くなっている作品です。個人的には現実の延長に存在し得る時間軸に在るものがSF、完全に作者の空想によって誕生したものがファンタジーではないかなと考えております。ここを掘り下げるとキリがありませんので、とりあえず「真世界シリーズは異世界ファンタジー」という認識でお願いします。


 はい。「完全に作者の空想によって誕生した世界」です。


 真世界シリーズには〝地球〟という場所が登場するのですが、この〝地球〟は〝真世界・地球(仮)〟という異世界であり、我々の暮らす地球とは似て非なるものです。ここでは単純に〝地球〟と呼称いたします。真世界・地球の正式名は、そのうち本編中にて出てくる予定です。


 この〝地球〟なのですが、すでに滅亡しかけております。地球に住めなくなった人類が、異世界へ移住する物語ですので、必然的にそうならざるを得ないのですが、この〝住めなくなった理由〟に関しては、本編発表前のプロット段階にて大きな変更を重ねることとなりました。


 ◇ ◇ ◇


 さて、「地球に住めなくなった理由」と言って、すぐに思いつくのは何でしょうか。多くの創作物においては「大気汚染」「環境破壊」「戦争」「災害」といったものが挙げられるでしょう。私の真世界シリーズも例に漏れず、「大気汚染によって地上に住めなくなった人類の物語」となる予定でした。


 しかしミストリアンエイジのあらすじにもあるとおり、〝地球〟に人類が住めなくなった理由は「植物に地表を覆われ、高濃度の酸素によって人体が重大な損傷を受けるため」です。これもある種の環境破壊ディストピアなのですが、環境至上主義者にとってはユートピアなのかもしれません。



 特にここ五年ほどにわたって、我々の世界は急激な左傾化を迎えてしまいました。謎のウィルス騒動を皮切りに、あれもこれもと情報統制や規制が入り、アルファベットな思想が幅を利かせはじめ、なぜか地球温暖化が加速され、なぜか虫を食わねばならないほどの食糧難になり、なぜかプラスチックや炭素が悪者にされたりと、挙げ始めるとキリがありませんね。


 人間をはじめとする生物のほか、地球上のあらゆるものが炭素によって構成されているというのに「脱炭素」を叫ぶとは。人類はいったいどこへ向かおうとしているのか、非常に興味深いですね。ここからも想像が膨らみます。



 とはいえ現実世界で生活をしていると、嫌でもこうした話題を目にします。まるで何かに操られているのかというほど、一斉にこれらの話題を口にする人々。私は正直、今の世界の方がよほど異質で奇妙な、異世界にすら思えてくるのですよね。


 しかしそうなりますと、「大気汚染」「環境破壊」「戦争」によって世界が滅ぶという従来のシナリオには、どうしても無理が生じてくるのです。絶対にこれらで滅ぶことはないと確信できる。これを信用できないなと。


 最もありえないのは「戦争」でしょう。この理由について話しますと不毛な争いが起きてしまいますので、ここでは理由は割愛させていただきます。特に戦後教育を真面目に受けた日本人は戦争という単語だけで発狂し、どうしても感情的になってしまいますからね。しっかり冷静に、戦争という行為の本質を理解すれば、これで「世界が滅びる」というシナリオは、最もありえないとわかるのです。


 もちろん私は、戦争には反対です。単純に、発生の理由は理解できるというだけです。だからこそ、戦わざるを得ない時は戦うべきだとも考えています。



 では実際にどういうシナリオによって世界は滅ぶのか。天災や隕石の飛来なども考えられるのですが、未来においては何らかの予防策が取られていると考えるのが妥当です。被害ゼロとはいかないまでも、少なくとも世界滅亡まではいかないでしょう。


 そこで私の至ったシナリオは、極端な環境至上主義の蔓延と、思想の単一化による人類そのものの淘汰です。


 特にスマホの登場以来、急激な思想単一化現象が起こりました。「多様性を認めよ」と声高に叫び、多様性という名の単一的全体主義を強制する流れです。


 多様性の中には当然ながら、多様性に否定的な意見も含まれるはずなのですが、それらは感情的な暴力によって、問答無用で排除される。もはや言っていることが真逆にして支離滅裂。無茶苦茶ですね。しかしながら現実世界には着実に、こうした思想が蔓延りつつあります。



 現在の流れを極端に推し進めた場合、環境至上主義によって植物が増加し、単一化思想によって排除が起こる。人間が生物である以上、どれだけ小規模な集団になったとしても、必ず淘汰が発生するものです。元々多種多様だった思想が〝多様性〟の元に統一されてしまえば淘汰は際限なく発生し、人間は着実に減り続けます。


 世界の前に、まずは自国に目を向けます。一見すると平和に見える日本でも格差社会と称し、子孫を残せない人々が多く発生しております。ただただ「日本は不況」と言い続けるだけで、失われた十年は三十年へと拡大されました。記録はもっともっと伸びるでしょう。とっくに終わったことでも、言い続けるだけでいくらでも存在させることができます。宗教と同じですね。「神は存在する」と人類が言い続ける限り、人類に神は存在します。


 具体的に何によって滅ぶかといえば、「思想」および「言論」です。銃を撃ち合うこともなく、地球を粉砕することもなく、舌先三寸で世界は滅ぶ。


 特に日本という国は、常に国家の心臓部に言論という刃を突きつけられている状態です。意味がわからない方は、日本という国家がどのような定義によって成り立っているのか、どれほどの歴史を持っているのか、世界一歴史の長い国は何処なのかを、ぜひ調べてみてください。



 「陽性」と「感染」、「菌」と「ウィルス」、「病原菌」と「病原体」、そして「女性」と「女系」。これらは似たような字面ですが、完全に非なるものです。


 たとえば「菌」を「馬」に、「ウィルス」を「自動車」に置き換えてみるとどうでしょうか。これらは生物と無生物ですが、人間の乗り物という共通点があります。


 しかし人間は馬を食べることはできますが、自動車を食べることはできません。また、馬は生物なので勝手に殖えますが、自動車は無生物なので勝手には増えません。


 同様に、生物である菌は勝手に増殖し、人間はキノコや発酵食品として菌を食べることができます。ですが無生物であるウィルスは、他の生物の細胞分裂を介さなければ増えることはありません。


 遺伝子組み換えレベルになれば在るのかもしれませんが、一般的にウィルスを使っていることを大々的に宣伝している食品は聞いたことがありません。そもそも、そうした場合でも、実際に食されるのは生物の肉体部分です。ウィルスの塊を食べる場面なんて、とても想像できませんね。



 こうして明確に違いが存在しているにもかかわらず、最近のマスコミらはこれらの文言を故意に織り交ぜ、論点をずらし、主語を拡大し、問題を混同させる手法をとっております。


 そして残念ながら、いわゆる一般大衆には思考を放棄している方が多く、これらの意味の違いに気づこうともしない。その中に一発で自国を滅ぼしかねないような、危険な言論が混じっていたとしても、です。真実の中にある嘘を、嘘の中にある真実を、見抜くことができていない。


 ある日、平和な日本の日常に「日本消滅。世界最長の国家、三千年に渡る歴史に幕」などといったニュースが流れる未来。戦争や天災などよりも、こちらの方が信用できてしまうのですよね。



 特に日本人は良くも悪くも同調しやすい人種ですので、単一的全体主義に適合しやすい傾向にあります。戦時中、「われわれ国民も自粛をして、兵隊さんたちを応援しよー!」という軽い気持ちで始まった活動が、いつしか「欲しがりません、勝つまでは」や「非国民」へと発展してしまいました。


 同様の流れが、ごくごく最近にもありましたよね。思想への同調を行なわない者をあたかも世界の敵とみなし、暴力的な言論によって徹底的に叩きのめす流れが。あれは「昔だから」「昭和の古い思想」というわけではないのです。


 これらを主導したのは政府ではなく、どちらもマスコミです。思想や言論を自在に操るものこそが、真の支配者といえるでしょう。



 ◇ ◇ ◇



 これらの話をご覧になって、何の根拠もない幸崎の妄想であると思われた方も多いでしょう。はい、それが正しい認識です。


 先にも述べたとおり、「完全に作者の空想によって誕生した世界」こそが私の描くファンタジーですので、その認識は願ったり叶ったりでもあります。


 逆に現実世界のあれこれを想起させてしまうと、ファンタジー作品としては失敗といえます。私が左傾化色の強い作品を苦手としている理由ですね。文学作品としては成功なのかもしれませんが、エンタメ作品としては失敗です。ああいった思想が見え隠れすると、その度に〝現実〟を思い出してしまい、まったく物語に入ることができません。


 いまや現実世界のそこかしこにそうした思想は溢れかえっているのですから、お腹いっぱい、もうたくさん。わざわざフィクションの中でまでも、見せつけられたくはありません。少なくとも私は、現実離れした空想の世界ファンタジーを見たいのです。ツライ現実を突きつけられるのは、現実世界だけで充分です。


 こんな世界は空想であってほしい、そして空想だからこそ面白いのがファンタジーです。そして空想の中でのリアリティを描ききるのが、ファンタジーの真髄です。


 空想の世界だとわかってはいるが、もしかすると自分が知らないだけで、実はこういう場所もあるかもしれない。読み手にそう信じさせるのが、ファンタジーの醍醐味です。


 そのためには、まずは第一の読者である作者自身が、己の創りだした世界とシナリオを信じきる必要があるのです。



 時おり異世界ファンタジーを書くのが苦手だと仰られる作者さまもおられるのですが、そういった方は自身の生み出された作品世界を信じきっていないのだと思われます。なにかと現実世界と比較して、どこか嘘くさい、どこか恥ずかしい、どこか鼻で嗤ってしまう。――そんな思いがないでしょうか。


 まずは生みの親である作者が、我が子たる世界を信じきることです。この異世界は存在し、魔法や独自の文化があり、それを前提とした社会が確実に形成されているのだと。まずは作者自身が信じなければなりません。


 そうして誕生した異世界には、作者ですら従わざるを得ないルールや価値観が必然と生まれます。そうして創造主の手を離れ、完全に自立した世界こそが、真の異世界たり得るのです。その異世界で暮らす人々の様子をピックアップして描くだけで、ファンタジーは完成します。とても簡単です。



 そうして誕生したのが、ミストリアンエイジに登場する〝真世界・地球(仮)〟の正体ですね。あれは私が信じきった、地球の未来の姿です。つまりは紛うことのない異世界であり、ファンタジーなのです。現実世界があんなディストピアになるのは御免ですので、そうならないことを願いたいですね。



 脳内整理を兼ねて真世界シリーズの裏話を語らせてもらうつもりが、えらく長くなてしまいました。まだ前置きの段階であり、序の序の序にも入っておりませんね。


 再三申しあげますが、私は特定の思想を否定することはいたしません。

 悪いとも駄目だとも言っておりませんからね。


 あなたも正しい。私も正しい。みんな正しい。住み分けこそが平和です。

 よろしくお願いいたします。


 それでは今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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