読書断念2:苦手なキャラの登場
私が読み進めるのをやめた話、その2です。今回は「苦手なキャラの登場によって読了を断念した」という内容ですね。
ちなみに、この『読書断念シリーズ』は、私が過去に投稿したものを再編集したものとなっております。原文は下記にございます。これの投稿日や編集日をご覧になれば、「本企画の参加作ではない」ことがおわかりになると存じます。
https://kakuyomu.jp/works/16817330664120023812/episodes/16817330665400332361
先にお断りをしておきますと、ここで触れる「苦手なキャラ」というのは、いわゆる「ツンデレキャラ」です。言葉には細心の注意を払いますが、ツンデレが大好きな方には不快感を与えてしまう恐れがありますので、どうか自衛をお願いいたします。
まだまだ人気ですからね、ツンデレ。私自身、苦手なくせに作中に登場する機会も多かったりします。変幻自在に動かせることもあり、書き手としても扱いやすいのでしょう。「ヒロイン」としても「狂言回し」としても有能ですからね。
また、「ツンデレ」といっても、多くのタイプが存在しております。私もタイプによっては好きなキャラになったりもします。ここでは大きく分けて、タイプは「4種類」存在していると仮定します。それは以下のとおりです。
1:最初はツンツンしているが、打ち解けるとデレたままになるタイプ。
2:公共の場や他人の前ではツンツンしているが、主人公の前ではデレるタイプ。
3:ツンとデレを脈絡もなく交互に繰り返すタイプ。
4:ツンデレの皮を被った、ただの性格の悪い子。
この内、私が許容できるタイプは「1」と「2」になりますね。むしろ「2」は大好きかもしれません。苦手なのは「3」と「4」ですね。
「3」はとにかく怖いです。現実世界にも、なんの前触れもなくキレる人や怒鳴りつけてくる人がいますが、あれと同じです。絶対に関わりたくない。「3」のタイプは素直になったと思いきや、次の瞬間には敵意を向けてきますからね。彼女らが〝そうする理由〟は「ツンデレだから」のみです。
つまり、キャラクタの〝属性〟や〝役割〟に〝アイデンティティ〟が負けている状態なんですよ。キャラクタの行動原理よりも〝属性〟が持つ性質が勝っているがために、プログラムされたロボットのように特定の行動を繰り返すのです。これでは生きている人間ではなく、〝人型の実体〟と変わりません。もはやホラーですね。
そして「4」にいたっては、もはや「ツンデレ」ですらありません。この手のキャラクタは、見た目だけがツンデレのテンプレートをなぞっているんですよね。
たとえば金髪のツインテールで、主人公より年下でツリ眼。気が強くて誰に対しても喧嘩腰で話し、二人称は「あんた」。このような感じのキャラが登場すると、どうしても身構えてしまいます。
正直、見た目だけなら大好きなんですけどね。
それだけに、より無念さを感じてしまいます。
登場から、ずっと敵対的な態度のまま、「いつデレるのか?」と期待を持たせ、結局デレない。それでも「デレのないツンデレ」といった謎の呼称を使ってまで、「ツンデレキャラ」を名乗る。正直、こうした流れは「ツンデレ」への信頼を大きく毀損していると思うのですが、どうなのでしょうね。かつては「高飛車」と呼ばれるタイプでしたので、これらは高飛車で良いと思います。
*
さて、前置きが長くなりましたが、私が拝読を断念してしまった作品は「4」のタイプが登場する物語でした。もしかすると「1」だったのかもしれませんが、知るよしもありません。ずっとツンデレキャラが敵対的な態度をとるエピソードが続いていたために、読み進めることが苦痛になってしまったんですよね。
その作品は、ジャンル的には「児童書」寄りの冒険小説でした。前半部分はとても面白く、少年たちが仲間とワイワイガヤガヤと楽しそうに、色々な場所へと冒険に出かけるのです。なかには命がけのものもあったりと、手に汗握る冒険をします。
この「仲間たち」も個性が強く、どのキャラにも特技があり、一人一人にしっかりとした過去が存在している――まさに「生きたキャラ」たちでした。
そうしてワクワクしながら読み進めていたのですが。ある時、ひとりの「少女」と遭遇します。そこから一気に、雲行きが怪しくなってしまいました。
この「少女」は神秘的な雰囲気を持ち、自身のことをあまり口にしません。何らかの大きな秘密を抱えているのはわかるのですが、つねに喧嘩腰な態度を取るために、主人公たちとも会話が成立しないんですよね。挨拶をしても、質問をしても、何を言っても即座に罵倒が返ってくる。そんな状態です。
それでも面白い物語だったことは確かなので、頑張って読み進めておりました。読むのに「頑張り」が必要な時点で少しツラいと感じてはおりましたが、3話、4話と、以降も新着を追っていたのです。しかし、まったく少女の態度に変化は無い。
この少女は物語の重要人物であるらしく、登場以降は彼女が話題の中心になりました。そのため、あんなに楽しく賑やかだった拠点内にも、ずっと重苦しい空気が漂い続けている状態なってしまったんですよね。
そして、私が拝読を諦めた決定的な理由となったのが、そこまで読み進めても「未だに少女の名前が判明していない」という部分になります。――はい。ツンデレとの自己紹介イベントとなると、ギスギスする展開が安易に想像できますよね。
例1:主人公が少女に名前を
答:「あのね、人に名前を聞く前に自分から名乗るもんでしょ? 馬鹿なの?」
例2:主人公が名乗り、少女に名前を訊ねる⇒
答:「あんたの名前なんて興味ないわ。馬鹿じゃないの?」
例3:少女から先に名乗る⇒
答:「なによ? どうせ変な名前だって思ってるんでしょ。あんたこそ馬鹿みたいな名前のくせに」
このような感じです。
とてもとても見飽きた展開。想像するだけでウンザリします。
延々と続くギスギスした空気に辟易としているところ、さらに今後〝これ〟が来ると思うと流石に我慢ができず、申し訳ないと思いながらも読了を断念してしまいました。できれば読み進めたかったのですが、「あの少女」がどうしても無理でした。他は魅力的な良いキャラばかりなんですけどね。本当にもったいない。
改めて言うまでもないかと思いますが、この作品は「名作」です。物語に没入して読むことができた時点で、文章力・描写力・物語性・世界観のすべてが素晴しいという証左となりますからね。キャラクタの好みさえ合えば、最後まで楽しく読み進められると思います。「ツンデレ・タイプ4」を好まれる方には、特にオススメですね。
このような感じで、私が拝読を断念した「名作」のお話をさせていただきました。あくまでも幸崎の好みの問題ですからね。どこかで該当作を見つけられましたら、是非ご一読を。読者さまのお気に入りの作品となるかもしれません。
それでは、今回は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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