第2話
一息つきながらメイクをしていると昨日のことを思い返していた。
本当に偶然の重なりだった。
半年前に見た掲示板に写っていた人のお店が宿泊予定のホテルから徒歩5分のところにあると知り、友人との約束もキャンセルになって暇だったので興味本位でお店に入った。
初めて踏み入れる世界で期待と不安が混じり合って扉を開けれなかった。ちょうど、お店に来ていた業者の人が出てきて中に案内していただきやっと扉の中に入れた。
中は廊下の静けさとは比べ物にならないぐらい賑やかでキラキラしていて薄暗かった。
年齢確認などを済ませて、数日前から連絡を取っていた彼とご対面した。本当にかっこよかった。
私より丁寧なベースメイク、アイメイク、そしてよく似合っているリップと髪。
今目の前に彼というイケメンがいる事実を受け入れたいが受け入れられない。
それだけならまだしも、隣りに座って微笑んでくれている、私に対して。
これは私が創り出した夢の世界なのかと思ったが、リアルタイムで来る母からのメールで現実だと再認識する。
そう、今日は初めて両親に内緒で一人で外泊する日である。一ヶ月ほど前から準備を進めてきた。両親には夜勤のバイトと言い、荷物をまとめて出てきた。
今まで生きてきた21年間の中で、初めての試みで成功を噛み締めていた。
ウソを付くのは胸が痛む。だがしかし、楽しい。表現できない楽しさと高揚感と優越感が渦巻いており、ハイになっていた。
チェックアウト10分前にベッドに腰掛けメイクをしている女、後にホスト狂いとなる。 みいな @-m-i-i-n-a-
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