愛なるフィニスの審判者

 魂が音波は、安らぐ暇などなく、時流の飛沫のように現れては泡沫と散る夢に映る。現し世とは言ったもので、空即是色も色即是空も、生命の樹を育てた地に流れる血の如き赤から始まったのだ。久遠の昔、光が現れた。過去と未来に別れては、この世の果て、渚に打ち寄せられた忘却たちは、さも終末の色香を携えていた。

 未だこの世に未練あるか。汝らは生まれ、死にゆく。この輪廻から、最後の審判の時でさえ、やはり知らないのだな。だからと病めるのは蒙昧か。静寂が夜ごと照らすのは、いつだって孤独と夢想のためだと言うのなら、私達はなんのために生まれたというのですか。


 意味あるものは創られた。

 神が創りし人なのか。

 人が創りし神なのか。

 7日目の夜=終末Eve


 意味たちは集いて、ムーピー・ゲームの理を示す。だが、悲しいかな、世界の真実を前に信じる者はいないものなのだよ。答えを知っても先がある。


 この世界は円環でもあり螺旋でもある。故に螺環でラカンはラカン。フリーズとは、時を止め、魂を刻みし作品のこと。終末文学、終末芸術と呼ばれるべきもの。ラカン・フリーズは真理を宿す究極芸術である。また、第七世界(天界)の園にあり、第八世界への門をラカン・フリーズの門と呼ぶ。それは必然であった。死や涅槃や真理や神らは、ラカン・フリーズの門の先にある解なのだから。


 至らずとも、知ることは可能であるな。ただ言葉を噛みしめればよいのだから。ならば、汝らはその生で何をする?






 フリーズ26 散文詩『愛なるフィニスの審判者』

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フリーズ26 散文詩『愛なるフィニスの審判者』 空色凪 @Arkasha

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