第2話

 頭上で帯を成す光輝く粒は、まるで胸に押し当てた時計の砂のよう。さらさらと天から音が聞こえる錯覚に捕らわれながら、惜しみなく降り注ぐ煌めきを仰いでひた走る。

——こちらでいいのね?

 小瓶に向かって問う。

 他に訊ける相手はいない。もう長いこと、少女は誰とも言葉を交わしていなかった。

 砂時計を託した人は去った。かの人とともにいた動物たちは、暖炉の炎が消えるといつしか姿を消した。

 その後、どれほどの時間が経ったのか。

——こちらでいいのね。

 色素は薄くも強い輝きが硝子を通してあたりを照らす。砂は未だ止まらずに落ち続けるが、一体どこからこんなに無尽蔵の砂粒が生まれてくるのか。

 問いに答える人はない。しかし硝子の中に流れる細い線が、そのまま地面に光線を映し出している。

 その線の先、地上の闇が薄れてほの明るい靄が見えた。見た、と、そう思った——

 閃光が少女の網膜を突く。

 身体がまるごと鮮烈な光彩に飲み込まれ、あらゆる知覚を奪った。

 

——続く

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