美人なお姉さんが水着姿で抱きついてきて可愛すぎる件〜こんなバイト、ありですか!?〜
空豆 空(そらまめくう)
【1話完結】水着姿のお姉さんに抱きつかれた件
「ねぇ、なんちゃん。この水着どうかな!! 今年の新作♡」
俺は今、なんでも屋のバイトで、依頼主である浅見香奈さんの家に来ている。
彼女はうちの店の上顧客なのだが、どういうわけか気に入られて、このところ毎日依頼をもらっている。のだが……今日の依頼は、『新しく買った水着姿を見て欲しい』というもの。
こんな依頼ありか? と思うのだけど。お姉さんは元モデルなだけあって、かなりスタイルがいい。目のやり場に困る俺の気持ちとは裏腹に、新作水着に身を包んだお姉さんは嬉しそうだ。
「あれー? なんちゃん顔赤ーい。ねぇ、可愛い、可愛い、可愛い」
ちなみに俺は、お姉さんから『なんちゃん』と呼ばれているのだが、これは俺が
そしてお姉さんは俺の赤くなった顔が好きらしく、たまにこうしてからかってくるのだ。
「もしかして……女の人に免疫なかったりする?」
「え、いや、そんなことは……」
水着姿のお姉さんに顔を覗き込まれ、たじたじになる俺。そんな俺を見て、お姉さんはイタズラっ子みたいな笑みを浮かべた。
「えいっ!」
そしてお姉さんはそのまま俺に抱きついた。
「ちょ、ちょっと、お姉さん!!」
動揺しすぎて顔に熱が込み上げる。なのに、お姉さんはそのまま耳元で囁いた。
「ねぇ、ねぇ、『依頼』するね。このまま、10秒、 が、ま、ん、して♡」
「ちょ、ずる。それいったら俺が逆らえないと思ってー」
「えーだめ? だって、可愛いんだもん。だめとか言ったらやだ」
甘えるように言われて、さらに抱きつかれて、恥ずかしいけれど断る気も起らない。
「‥‥…じゅ、10秒だけですからね?」
俺の言葉にお姉さんはまた、へへっと子供みたいに喜んだ。
「へへー。じゃあ、今から10数えるねー? いーちぃいいいいいいい」
「え、いまから!?」
「にい――いぃいいいいいいい」
「ちょ、そのペース!?」
明らかに10数えるペースが遅くて突っ込んだのだけど、お姉さんは怯まない。
「だーって、なんちゃんが可愛いんだもん♡ さあああああああああん」
(うわ、もう、なんかお姉さんいい匂いするし、柔らかいし、スベスベだし、頭がクラクラする)
そう思いつつ、このペースでの10秒を心の中で覚悟した。
その時、お姉さんはまた耳元で囁いた。
「ねぇ、なんちゃん、可愛い。可愛い人、すき」
そしてちゅっと俺の頬に軽くキスをすると。
「はーい、おしまい。そろそろ10秒だもんね」
お姉さんはあっけなく腕を解いてそっぽを向いてしまった。でも。
「……あれ? お姉さん顔赤くないですか。まさか自分からキスしといて、照れました!?」
明らかにお姉さんの顔が赤くなっている。
「ち、違うもん!! 断じて!! ぜったい、違う!!」
「へぇー? じゃあ、こっち向いてよく顔を見せてください?」
そんなお姉さんの様子に今度は俺の方が楽しくなってきて、お姉さんの両頬を両手で包むと、俺の顔を近づけてみた。
「ちょ、な、なんちゃん、顔、近……い……」
そういうお姉さんの目はどんどん泳ぎはじめて、耳まで真っ赤になってきた。
なんなの、さっきまで俺に強気だったクセに。そう思うと可愛くて。マジでキスしたくなってきた。けれどお姉さんは依頼主で、俺は雇われの身でしかなくて。
「あー俺、コンタクトして来るの忘れたからよく分かんないっス!」
適当なウソをついて、お姉さんの両頬を離した。
「……もう、なんちゃんの、ばか。明日も……来てね」
「はい。ご依頼とあらば」
「へへ。嬉しい」
俺の返事にお姉さんは嬉しそうにはにかんだけど……
――明日も会えるとか、俺の方こそ嬉しくて。
思わず緩む口元を、俺は必死でごまかした。
――なんでも屋のバイトをしたら、水着姿の美人なお姉さんが抱きついてきて可愛すぎる件(完)
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読んでくださりありがとうございました!!
今回の話は今連載中の作品をスピンオフ作品として短編にしてみたものです。
少しでも面白かったと思っていただけましたら、★やコメントなど残していただけると嬉しいです。そして、気に入っていただけましたら、ぜひ本編の方もよろしくお願いします。
美人なお姉さんに、日給2万でそばにいてと依頼された件~思わせぶりなお姉さんに、俺の理性がたまに仕事しなくなるんだが?~
https://kakuyomu.jp/my/works/16818093082459169005
空豆 空(そらまめ くう)
美人なお姉さんが水着姿で抱きついてきて可愛すぎる件〜こんなバイト、ありですか!?〜 空豆 空(そらまめくう) @soramamekuu0711
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