咲里
僕達の暮らすこの世界は男子が少ないから、男性年金なんてのもあって、僕の世代ではもう男の子が産まれなさすぎて制度も大きく変わって、産まれてもわざわざ学校とか、幼稚園保育園ですら通わせる家も少なかった。僕もママとお姉ちゃん達は反対してたみたいだけど、自分としては行きたくて、パパとにーにも後押ししてくれて、普通に幼稚園から通いだした。そんな感じで何人か男の子の友達はいたけど、他は周りみんな女の子。でも僕はお姉ちゃん達がいて女の子に対する警戒感とかあんまなかったから、普通に皆と仲良くなってった。幼稚園の時、僕には何かと気になる子がいた。その子は僕達が遊んでる輪には入らず、というか入れなかったんだと思うけど、いつも教室の片隅で少し難しそうな本を読んでいた。自分に関わるなって雰囲気はあったけど、僕はどうしてもその子と遊びたくて、やたらと声をかけ連れ回した。その子の名前は森咲里、後に僕の生涯の伴侶の1人となる人。多分、僕は幼いながら咲里に一目惚れってやつをしたんだと思う。だから他の幼なじみの子達から告白されたりしても断った、その中の1人の知佳くんを振った時は泣いちゃって大騒ぎになったっけ・・・それで、その時から小学校に上がっても僕はずっと咲里を追いかけてた。咲里は小学生になって、だんだん僕以外にも友達が増えて明るくなってったし、元々可愛い顔してたからモテるようになった。そして僕の咲里を思う気持ちもますます強くなってった。そして、実はあの告白の直前に僕は数少ない男子の親友、恵に相談したんだ。
「森くんも千陽のこと好きだと思うよ」
「え?」
いや、僕も咲里と話して全くそう思わない事はなかったけど、でも、咲里は誰に対しても分け隔てなく接してたし、そういう顔は僕に対してだけじゃなかったから、そもそも咲里は、そもそも僕達まだ小学生だったし、ましてや女子だし恋愛とかそういうの興味無いのかなって思ってた。だからこの時、メグのこの言葉を聞いて、胸がドキンとなった。と同時に、これはあくまでメグの個人的見立てだろうし、そもそもメグは僕の親友だから不安にさせない為にそう言ってくれてるのかも分からんし・・・って不安も入り交じった。まあ結果的にメグは冷静に見てそう言って、僕は咲里と結ばれたからいいんだけど、その瞬間まで僕の胸はすごい苦しかったなあ。ただそれからもお姉ちゃん達が咲里に圧かけたりしないかとか不安だったけど、むしろ咲里もそこら辺ちゃんと考えて、お姉ちゃん達にも物怖じせず僕と・・・僕と恵梨との関係を築いてくれた。ひま姉に「千陽はあなたがたのものではありません」なんて言い放った時ははヒヤッとしたけどね・・・・・・
特に恵梨に関しては「にーにを取られた」って思わないようにって、半分ずっこなんて約束して・・・でもそんな人だからこそ、僕は咲里を好きになったんだ。
うちんと〜葛西家姉弟妹よもやま話〜 侑李 @yupy
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