第4話

(もう駄目だ…)




私は涙を拭き、真実を話す決意をした。

樹生さんと別れるのは辛いけど、捨てられるよりはまだマシだ。




「樹生さん…ごめんなさい。

実はね……」


私は全てを話した。

喋りながら、また涙が込み上げてきたけれど、それでもなんとか話しきった。




「紗夜…君はそんなことを…」


嫌われた。もうおしまいだ。




「……馬鹿だな。」


樹生さんは、私の涙を指で拭った。




「そりゃあ、最初は君に伽耶の面影を見ていたかもしれない。

でも、付き合ううちに、君と伽耶が別の人間だってよくわかった。

見た目はそっくりでも、君たちは中身が全然違うよ。」


「え……で、でも、私…性格も伽耶に似せて…」


「そうなの?でも、僕には全然違うように思えたよ。」




どういうこと?

伽耶に似てなくても良いってこと?




「伽耶のことは大好きだったけど、僕が今好きなのは伽耶じゃない。間違いなく紗夜だよ。

君がいてくれたから、僕は伽耶の死を乗り越えることが出来たんだ。」


「で、でも、私……」


混乱して、言葉が出て来ない。




「僕は、ずっと伽耶のことは忘れないけど、これから愛するのは紗夜、君だよ。

それじゃ駄目かな?」


嬉しくてまた涙が零れた。




「よ、よろしくお願いします。」


「こちらこそ、よろしくね。」


まだ半信半疑だけど、今夜は最高のクリスマスになった。

もう伽耶の振りをしなくて良いんだね。




「あ、ちょっと冷めちゃったけど、美味しいよ。」


そう言ってステーキを頬張る樹生さんに、思わず笑みが零れた。

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月も輝く ルカ(聖夜月ルカ) @rucca

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