第3話

伽耶のふりをして、樹生さんに会って…

こんな私に伽耶はきっと怒ってるはずだ。

でも、樹生さんに会えば会うほど、樹生さんに惹かれていって…

もう、私の気持ちは止められないところまで行っていた。




一年が過ぎた頃、私と樹生さんは結ばれた。

ついに一線を越えてしまったのだ。

私は樹生さんが好きだったから嬉しかったけど、私にはわかっていた。

樹生さんは、私を好きなんじゃない。

私はあくまでも伽耶の代わりだと言うことを。

それは辛い現実だったけど、それでも私は樹生さんと離れたくなかった。

代わりでも良い…

樹生さんの傍にいたい。




「紗夜、どうしたの!?」




そう思ってたはずなのに、なぜだか涙が止まらなくなった。

伽耶の身代わりのまま、結婚生活を送る自信がなかった。

一緒に暮らすようになったら、ボロが出るんじゃないだろうか?

おまえなんか、伽耶とは全然違うって、捨てられるんじゃないだろうか?

そんなことを考えたら、怖くてたまらなくなった。




「紗夜、本当にどうしたの!?」


樹生さんは困ったような顔をして、私をみつめている。

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