第2話 猫にまたたび、事故現場に犯人

 赤燃寄姫、女神教幹部。現在、警察署女神課に配属されている警察官。赤い髪を後ろで緩く三つ編みにしている。能力、炎を操る、名称不明。何らかの制限があるようだが掴めず。


「ほほーん、なるほどなるほど」

「ちなみに仕掛けたカメラは余さず壊されたよー。流石、と言うべきかにゃー」

「ぱっと見、一切問題なさそうだけど。なんで女神教なんかにいるんだろうね」

「性格に難があるんだよー、自己中……? いや、正義感が強すぎる……? まぁ、あった方が早いと思うね」

「あった方が、って私を殺す気か、リザルトちゃん⁉︎」

「いやいや、向こうさんは小さい頃の女神ちゃんの姿を知ってるけど、女装こっちは知らないはず」

「というかそもそも会う方法がないはずだけど? 私が捕まれってこと?」

「そそ、そういうこと。っていうのは冗談にして」

「彼女は女神課だ? 女神の現れた事故現場に来ないはずがないでしょ」

「そんな都合よくあるわけ……あ」


「さっきの銀行か!」


 先ほどの銀行に戻って来ると、目の前の道路にパトカーが置いてあった。警察の仕事が早くて一庶民として安心ですね。なんて冗談はともかく。

 殺傷事件では無かったし、銀行は街の重要な建物のためか、黄色いテープは貼られておらず、端の方で聞き込み調査を行っているだけだった。

(ま、どうせ私の能力でみんな何も喋らないし、覚えてないけどね)


 口座から金を取り出すふりをしつつ、そちらの方を覗き見る。

(お、いたいた、あれが寄姫さんか)

 警察の中でも一際違うオーラを漂わせている。というかまず赤い髪の人なんて一人しかいない。顔立ちは整っており、髪の手入れもバッチリだ。どう頑張っても女神教には見えない。

(あれ、なんか怒ってる?)


 ここは耳を澄ましてみよう。

「女神様を語る何者か……絶対に許さない許さない許さない。何がなんでも見つけ出して殺す。殺す。殺す」

 あら、怒りのせいか周りに炎が。気のせいよ。

「あ、赤燃殿、ほ、炎が出ております」

「ごめんなさい、つい」


(いや、怖っ⁉︎ 女神様のこと好きすぎだね、これは)

 なんとなく彼女のことがわかった気がした。

 目的を達成出来たので犯人様はとっとと退散しようと外に出た時……


目が、合った。


 彼女の燃えるようなだが包み込むような赤い目と自分の青い澄んだ目が交差する。

(まぁ、気のせいだな)

 ただひたすらに歩く。

 と、スマホに着信が。

「おっと、用事ができたね」

 道を引き返す。そしてまた、歩き出す。

―――――――――――――――――――――――

 とある博物館にてある一件のメールが届く。

『今夜ダイアモンドの軌跡をいただく』

 差出人 怪盗ヌーリ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

女神様は罪を残す 魔朱真露 @stoneriverkarin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ