第32話 夏の夜空に

 夏の夜空に打ちあがる花火……

派手に打ちあがり、儚く散っていく花火。


 夏の夜空に、

今を見つめる想汰……。


 夏の夜空に、

過去に想いを馳せる美緒……。


 夏の夜空に、

朝陽と美緒と想汰、聡と智美の五人で観た

派手に打ちあがり、儚く散る花火の想い出が

蘇る……。


 朝陽と想汰と美緒の記憶が……、

少しづつ重なっていく。


 想汰が美緒の横顔を見つめ、優しく微笑んだ。

 美緒も想汰の顔を見ると優しく頷いた。


 「美緒先生……ありがとう」と呟くと

想汰はゆっくりと目を閉じた。

 時人と朝陽が靄の中から現れ、


 そして、すべての記憶が重なり合い……

朝陽と想汰の七年間の時間が交差すると、

眩しい光が全てを包み込んだ。

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