第2話 突然の別れ

  「あの子、歩道に飛び出した男の子を

 助けようとして……

 ドライバーも慌てて急ブレーキをかけた

 けど間に合わなくて……事故直後は

 意識があったみたいなの。

  美緒ちゃんとの約束してた場所を

指差して……」

  朝陽のお母さんが泣きながら美緒に言った。


 「美緒……大丈夫?」

 親友の智美が彼女の腕を握りしめた。


 制服姿で埋め尽くされてた葬儀会場、

ニコッと笑ってこちらを見る朝陽の遺影、

朝陽のお父さん、お母さん、お兄さん、

御親族……担任の先生、クラスメイト。

会場内に泣き声が響き渡る。


 「朝陽が助けた男の子は、軽傷ですんだ

そうだ……あいつがその子の頭をしっかりと

守ってくれていたお陰だそうだ」

 と誰かが口にした。


 突然、美緒の前からいなくなった朝陽……

美緒は彼との想い出が沢山詰まった

スマホを取り出し、アルバムから

『笑顔の朝陽』を映し出すと、

スマホを胸に押し当てて涙を流す。


 「美緒……」思い出すのは優しい彼の声ばかり。

思い出すのは、彼の笑顔、彼のすべて……。


 「朝陽……どうして、死んじゃったの?」

一人、悲しみに暮れる美緒。


 高校三年の秋、

大好きだった彼との突然の別れ……

季節は、冬へと移りやがて、春を迎えた。

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