13.事の顛末からの冒険者家業へ

結果として、模擬実戦は中止となった。

エリザベート嬢の第五位階魔法によって予想以上のダメージを負った生徒が平民貴族問わずに多数出ており、そのエリザベート嬢も俺の使ったライフスティールによって未だ眠りについてる状態であった。

例のメイドに偽装していた魔族達は模擬実戦の翌日から姿はなく、代わりに別のメイドが世話役をやっているらしい。


一方の俺の方はと言うと…入学早々に二週間ほどの停学処分と教養分野の宿題が下された。

やはり、あのライフスティールの力を見た教師達からかなり危険視されており、今一度”吸収”のスキルを調べる必要があると判断されたからである。

無論、貴族側の教師からは即刻退学させて拘束すべきだと抗議していたらしいが、平民側の教師から拘束したところで力を封じることは出来ないと議論の平行線状態だとか。


「まぁ、そんなわけで自宅で自主学習していても収入が入ってくるわけじゃないから、冒険者協会に来たわけだが…」

「まぁ、そんなわけ…じゃないわよ。あんた達って本当有名人なのね」


俺とアリッサの他に先日のガイストとネリスに加えて、ヘレナとアルスも加えた6人パーティーで依頼を受けようとしたが…

いかんせん、俺とアリッサの姿を見た冒険者達が遠巻きながらヒソヒソと話してる声が聞こえてきた。


(おい、あれ…吸収の悪魔と悪食姫だろ…)

(嘘でしょ…あれで銀級以上の実力があるんでしょ…?)


…噂以上に吸収の悪魔という異名が広がっていることに頭を抱えたくなった。

まぁ、ペントレー領で散々暴れていた鮮血鹿を素手で角をへし折って、アリッサが鮮血鹿の喉笛を食いちぎってしとめたのは悪名を広げる理由になるがな…



とまぁ、ヒソヒソ話をされ続けるのもアレなので、アルス達に併せて鉄級の依頼を受けることにした。





したのは良いんだが…




「一角兎をワンパンでしとめてる上に、ゴブリンを素手で倒すとは…」


アルスから呆れた声で発しながら、顔面陥没したゴブリンの耳を削ぎながら一角兎の山を眺めていた。

アリッサが手斧で一角兎を一撃でしとめた後、片方の空いた拳でゴブリンの顔を殴りつけて陥没させていった。

その間、突撃してくるゴブリンと兎をガイストが木の大盾で防ぎながら流し、ネリスはスライムを使って薬草などの採取を行っていた。


その一方、ゴブリンの中にもゴブリンメイジと言った魔法使いタイプも混じっていたので、そう言う奴の攻撃は吸収で調和して素早くしとめていった。


「まぁ、今回は6人で素材はぎ取りの手伝いもしてくれるから作業が捗るが、これが2人だった時はそういかないからなぁ…」


そう言いながら、アリッサとため息付きながら逃げていくゴブリン達を余所に解体作業を手伝うことにした。

沢山しとめても鮮度が落ちてしまえば使い物にならないし、かといって戦闘を疎かにするわけにも行かない。


それが今日の人数分なら取り分は減るが効率がよい。

効率が上がればその分収益も上がるからなぁ…


ある程度の作業を終えた俺達は各自収納スキルで回収した後、冒険者協会屁と戻っていった。



一角兎の肉が30羽分、ゴブリン討伐数がメイジを含めて50体。

加えて、薬草から魔法薬に重宝する魔力草も軽く二束分採取していたので、合計金貨3枚分を銀貨300枚に交換して6人で分けた。


「やっぱ、あんた達と組んで正解だったわ♪ほら、あんたもお礼いっときなよ」

「…どもっす」


現金なヘレナを余所に、アルスはオドオドしながら俺の方を見て軽く頭を下げた後、2人は協会を後にして帰って行った。

…肝心のアルスが勇者に覚醒する予兆は見られなかったが、まぁゆっくりと様子見しておこう。

どのみち、あのエリザベート嬢が寝ている以上は何も出来ないからなぁ。


「ケヴィン様。私達も帰宅しましょう」

「そうだな。ガイスト、ネリスも今日はありがとうな」

「ど、どうもです…」

「い、いつでも呼んでください…フヒッ」


ガイストがネリスをエスコードしながら帰宅していくのを見届けた後、俺とアリッサは軽く手を繋ぎながら外に出た後、残った銀貨100枚で夕食の買い物をしてから帰宅していった。









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ストックはここまで


続きは評価が良ければ考えます。

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物語の悪役らしいが自由にします 名無シング @nanasing

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