第8話「のっぺらぼうのぺらりさんとのんちゃん」妖怪
❖登場人物紹介❖
・ぺらりさん
のっぺらぼうの少年、お留守番をするのんちゃんの元に訪れる。
ぺらりさんイメージAIイラスト
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093083034560198
・
元気な四歳の強くて、優しい男の子。
のんちゃんイメージAIイラスト
https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818093083034570791
・のん太ちゃんのママ
のんちゃんのママ、ちょっと、のんきな性格。
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神戸のある市内のマンションに、のん太ちゃんと言う四歳の男の子がいました。
あだ名は、のんちゃん。ちょっと、いたずらが好きな元気な子。
のんちゃんは、ある日、ママがお隣さんに用事があるので、ほんの少しの間だけお留守番をすることになりました。
「お留守番は怖くないけど、ちょっと寂しいな」
のんちゃんは、少し寂しがりましたが。すぐおもちゃのブロックで遊び始めます。
その時、ピンポーンとインターホンが鳴りました。
のんちゃんは鍵を開けて、出ようと思いましたが、ママとのお約束で「インターホンが鳴っても、ママが帰って来るまで絶対、開けちゃ駄目よ」と、言われていたので部屋に戻ろうとしました。
すると、ドアの向こうから「のんちゃ~ん」と声がしたのです。
「は~い!」のんちゃんは思わず、元気な挨拶を返します。
その時です。「元気な挨拶だねえ。今、そっちに行くよ」
と声が返って来て……
にゅ~っと白い柔らかそうな、お餅のような物体がドアを通り抜けて来たのです。
「うっ、うわあ~!」
のんちゃんは驚いて逃げようとしました。
白い物体は、玄関で人の姿に変わって行きます。
詰め襟の学生服を着た中学生位の少年、でもそのお顔には目も鼻も口も何もない、のっぺらぼうだったのです。
「わあ~、オバケッ!」
のんちゃんは口から、そうもらしましたが、のんちゃんは強い男の子なので、目を輝かせて、わくわくしました。
「あははっ、お兄ちゃん、オバケなの~? 面白いねえ」
「ありゃ、怖くないんだね。ちょっと、嬉しいかも。僕は、のっぺらぼうのぺらりだよ。君の名前は?」
「ぼくはのん太、
「ちゃんと、名前言えて偉いね。のんちゃん。今、一人?」
「うん、ママは今、お隣にいるの」
「じゃ、少しだけいようかな?心配だし」
「やったー!ありがと、お兄ちゃん」
◇◇
10分後……
ぺらりさんは、のんちゃんにクレヨンで、お顔に落書きをされていました。
「のんちゃん、顔に落書きしちゃだめだよ。お母さん、遅いな」
「ふふ、ごめんね。面白くて」
ぺらりさんは、顔を洗って来て再び、のんちゃんに聞きます。
「いつも、こんなに遅いの?」
「ううん、今日は隣のおばちゃんとお話してるのかな?」
「へえ、ちょっと、僕、見て来るよ」
「お兄ちゃん、お顔」
「大丈夫」
次の瞬間、ぺらりさんの顔には、目や口があり、ぺらりさんは微笑みます。
ぺらりさんは、のんちゃんのママを呼びに行きました。
のんちゃんのママは、やっと気がついてぺらりさんに礼を言って部屋に帰って来ました。
「のんちゃん、ごめんね。遅くなったわね。のんちゃんのお友達が呼びに来てくれて」
「ママ、ぺらりお兄ちゃんは?」
のんちゃんが聴くと、ママは「ここにいるわよ」と振り返りました。
「あら、帰ってしまったのかしら? でも、優しいお兄ちゃんだったね」
「お兄ちゃん、帰っちゃったんだ」
のんちゃんは、落ち込んでしゅんとします。
「そのうち、また、会えるわよ。お友達なんでしょ」
「うん……」
その夜、のん太ちゃんは夢を見ました。
ぺらりさんが出て来て、のんちゃんの頭を撫でながら言いました、
「のんちゃん、また遊びに行くから待っててな」
のんちゃんの顔がぱあっと、明るくなります。
「うん、待ってるよ。ぺらりお兄ちゃん!」
「ああ、またな!」
🔷のっぺらぼう
目も鼻も口も無いのっぺりとした顔の妖怪。一説には、タヌキやキツネ、ムジナと言う人を化かすと言われる動物が、化けたものだとも伝えられている。
「のっぺらぼうのぺらりさんとのんちゃん」-終わり-
妖怪・妖精話短編集 夢月みつき @ca8000k
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