4話「第9小隊」

 機体のロックを解除し外に出る


「すまないね、遅れたよ」


 中隊各員より少し遅めに基地に帰還すると心配性な部下が待ち構えていた


「理中隊長!!」


「やあ、無事だったかい?撤退の指揮はありがとね、信乃しなの副長」


「当然のことをしたまでです、隊長。それとのほほん、としないでください」


「はは、いつも迷惑かけてごめんね」


 こんなくだらなくて非日常偽りの平和を謳歌するのもいいが、今は日常最前線

 さあ頭を切り替えよう


「さて、信乃副長。今後の作戦を建てたい。指揮官様方がいる部屋はどこかな?」


「っ、は!!ご案内します」


「うん、頼むよ、あと、第4中隊各員と少年兵予備兵の諸君は命令があるまで待機するように」


「「「は!!」」」


 そうして階段を使い下に降りる

 下の階は時間稼ぎのための入り組んでいたり、一方的に小銃を敵に撃ち込める場所があったりと、さながら要塞と言えるほどだ


「やっぱりここ入り組みすぎだよね」


「中隊長……ピシッとしてください」


「部屋に入ったらね」



 迷路のような道を抜け私たちは一つの部屋に入る


「失礼します。第215独立戦人大隊第4中隊所属中隊長 理と」


「同じく第215独立戦人大隊第4中隊所属副長 信乃ただいま到着しました 」


 その部屋には大きなスクリーンに映し出されている地図と、司令官が立っている


「理くん。ご苦労だった」


「は、当然のことをしたまでです」


「ふむ、結構。さて本題に入ろう。今回は部隊編成についての話がある」


「部隊編成ですか?」


「実はツーマンセルでの舞台運営だと各個撃破による損害が大きくなってしまってね」


「つまり、中隊の下、小隊を作るんですか?」


「そういうことだ。理解が速くて助かるよ」


「他の小隊はもう分けきってある。君たちは第9小隊から作っていってくれ」


「了解いたしました」


「奮闘を願う。武運を願う」


「では、失礼いたしました」


「し、失礼しました〜」


 信乃副長……少し見たけど理解してそうに無かったな……


「理さん、なんであんな早く理解出来たんですか?」


「私がそういうのが得意だからかな」


 ポケットからチョコレートを取り出して食べる


「あ、私にもくださいよ!!」


「だめ、これ手に入れるのに苦労したんだよ」


 今やチョコレートすら高級品と言われる時代だ

 そう簡単に渡せるものではない


 私たちはそんな他愛もない会話をしながら出口へと向かう


「さて、第4中隊と、少年兵予備兵の諸君は、集合したまえ」

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