妖てんっ!

みんち

第1話 ●●との再会

「また遊ぼうね!●●お姉ちゃん!」


「ばいばいはーちゃん。また遊ぼうね!」


俺の名前は環一(たまき はじめ)

小さい頃からよく外で遊ぶ元気で優しい子だった

友達もいて、山に行って木に登ったり、秘密基地を作ったりしていた。でも記憶に穴があるようにある人のことだけ思い出せない。その人は僕が小さい頃よく遊んでくれていたはずなのに。だんだん思い出そうとしていたことも忘れて行ってしまった。


親の転勤が決まり地元を出て行くことになった。地元を出てからはあまり遊ばなくなった。いや、遊ばなくなったというより、親の転勤が多く喋るくらいの知り合いを作るのに精一杯だった。その頃にはもう完全にその人のことは忘れてしまっていた。


中学時代は親の転勤が多かったため部活動には入らず帰宅部だった。

帰ってからは体を動かすのが好きなため、趣味のランニングや筋トレ、あとはバトル系のアニメや漫画をみたりしていた。


中学卒業する頃、親の海外転勤が決まった。流石に海外となると言語も文化も違うため、日本に残りたいと母さんに相談することにした。


「母さん、流石に高校生になるし、海外でやっていけるか不安だから海外にいかず日本に残りたいんだけど…」


「そうよね、どうしようかしら…」


母さんはそう言いどうするか考えていたため、


「おばあちゃんの家に住むのはどう?おばあちゃんのお手伝いもするし迷惑かけないようにするから。」


昔住んでた場所の近くにおばあちゃんちがあることを思い出し提案したら、


「わかったわ。一人暮らしよりもお母さんの家の方が安心だし、お母さんに聞いてみるわね!」


と言われて母さんが祖母と相談して俺は祖母の家で暮らすことが決まった。


引越し当日母さんは泣いてしまったため


「月に一回はテレビ電話するよ。父さんも母さんも海外では体調に気をつけてね。」


「はじめも体調にはきをつけるのよ。」


「元気でな、はじめ。あまり気にかけてやれなくてすまなかったな」


「仕方ないよ父さん。仕事で忙しかったんだし僕たち家族のために働いてくれてたのは知ってるから。父さんも元気でね。」


「あぁ、俺はいい息子を持ったな。」


と言いながら泣きながら抱きついてきた。

母さんも一緒になって抱きついてきた。

親と別れてから新幹線で数時間後、

よく遊んだ故郷に帰ってきた。


「ばあちゃんひさしぶり!今日からよろしくお願いします!。」


「おおきくなったねぇ、こちらこそよろしくお願いします。」


「おお、大きなったのう。まぁとりあえず入れ入れ!」


祖父母に挨拶をして、荷解きをして、外の空気を吸うため散歩することにした。


「ばぁちゃんちょっと散歩してくるー」


「はいはい、遅くならんようにねー」


歩いて数分


「家の近くはあんまり変わってなかったけど、町の中心の方は結構変わってるなーこんなに家とか店なかったもんなー」


と思いつつ、散歩してるとよく遊んでた山も通りかかり秘密基地も残ってるか見てたら日が暮れてきた。


もう帰ろうとした時ふと視線を感じた。


視線を感じた方を見ると、小さい社を見つけた。

なぜか懐かしさを感じながらお参りだけしとこうと思い小さい社に近づく。


その社はツタが絡まっており枯れ葉が溜まって誰も掃除してなさそうな感じで中には狐の石像が置いてあった。


「せっかくお参りしにきたんだし、軽く掃除するか。」


と思いツタと枯れ葉を傷つけ内容に慎重に掃除してから手を合わせてお参りをした。


「さて、掃除もお参りも終わったし帰るか!」


と、帰ろうとした時


シャラン、シャラン


と鈴の音が聞こえ振り返るとそこには一匹の狐が座っていた。


可愛いなと思いつつ狐をあまり見ないため写真を取ろうとスマホを出して写真を取ろうとした時、急に狐が飛びかかってきた。


うわっ


という声を上げ反射的に目を瞑った。

飛びかかってきたはずが、衝撃がこなかったため

ゆっくり目を開けるとそこにはなにもいなかった。


「あれ、まぼろし?…幻覚?…」


そう思いつつあたりも暗くなっていたため家に帰ることにした。夜ご飯もできていて、それを食べ歯を磨いて、


「引越しとかで疲れてたんかなぁ」


そう思いつつ寝ることにした。


次の日の朝お腹の上になぜか昨日の狐が座っていた。


「あれ、夢?…痛い。」


夢かどうか頬をつねって確認するが痛かったのでこれは夢じゃなく現実だ。


「久しぶりだね。はーちゃん」


「え…喋った…というか、はーちゃん?…」


狐が喋った。

喋ったことにも驚いたけど、僕をはーちゃんとよぶのはあの人しかいない。だけどその人の名前を呼ぼうとすると思い出せない。というより、記憶に穴が空いたみたいな感じになっていた。


「どこかでお会いした狐さんですか?」


「そっかー、名前食べられたから思い出そうにも思い出せないのかーあ、そういえば今は狐なんだった。」


「名前を食べられ…?え?どういうこと?」


「んー、説明が難しいなー。簡単に言うと私がこの町を守っていた時に悪ーい妖怪と戦ってたんだけど、油断しちゃって後ろから名前をばくっていかれちゃてそれから大勢妖怪に攻められて名前奪われたから存在が消えかかってて力の源の尻尾も他の妖怪に食べられちゃって、最後の力振り絞ってなんとかこの町に結界を張って力がなくなっちゃって眠っちゃったから私のこともわすれてるのかなーって、でもよく考えると危ないかけだったわ。誰にも見つけられずに消えるところだったんだもの。」


確かにこの狐?のことは覚えてないけど、とても大事で大切な存在だった気がする。忘れたくない大切な…


「そんなにも私のことが大事で大切だったのね!なんだか嬉しいわ!!」


「あれ、口に出てた?」


「そういえば言ってなかったわね。私とはーちゃんの魂は繋がっているの。だから考えてることがわかるの!」


「魂で繋がってる?」


「そう!社を綺麗にしてくれた時、存在が確認され目覚めて懐かしい気配を感じたから見てみたらはーちゃんだったの!それで運命感じちゃってお参りしてたでしょ?手合わせたでしょ?それで飛びついたら魂の経路がたまだできたって感じかな?」


狐が照れながら言ってきた


「ちょっと心の声が筒抜けって恥ずかしいな。でもまぁなんとなく理解した。」


「そう!だからはーちゃんがなにか変なこと考えたらこっちに筒抜けだから私で変な妄想とかしないでね」


「狐の体でそんな変な妄想するか!!ていうかできるか!!」


「あはは、冗談よ冗談」


冗談を交えつつ話していると


「はーちゃん。お願いがあるんだけど聞いてくれる?」


真剣な表情で言ってくるので大事な話が始まると思い


「わかった。とりあえず聞くよ」


「ありがとう。まずお願いはね、私と協力して戦って欲しいの。」


「協力?というか戦う?誰と?」


「それは…私の名前を喰べた妖怪と言いたいところだけどまずは私の力を取り戻すために私の尻尾を喰らった妖怪からね、」


「妖怪…そんなもの本当に存在してるの?」


「昔よりは減ったわ。でも今もいるわね。

ほらよく聞くでしょ、学校の七不思議とか、まぁ今時のやつだと、さっきまで触ってたスマホがいつの間にかなくなってたり、朝起きたらまだ早くてもうちょっと寝ようと思って少し寝たらもう2時間遅刻だったりそういうのも妖怪のせいだわ。」


「え、まじ?そんなことも妖怪のせいなの?」


「そうよ。現代で生まれた妖怪はそこまで強くない。でも私たちが戦おうとしてるのはもっと上位の妖怪。そう、いにしえの妖怪と戦うの。」


「いにしえの妖怪…。そいつらがあなたの名前や力を奪っていったってこと?


「ありがとう!やっぱりはーちゃんは変わらないわね。」


泣きそうな顔をしながら狐はそう言ってきた。

僕の心も少し暖かくなった。


「そういえば、いつまでもあなた呼びするわけには行かないし、どう呼べばいい?。」


「んーどうしよっかなー。あ、そうだ!はーちゃんが決めてよ仮の名前!!」


「仮の名前かー。」


ふと最初にあったときに鈴の音が聞こえてきたのを思い出し、


「じゃあ、リンとかどう?」


狐も嬉しそうに


「リン!いいわね!リンでいこ!私は今日からリンよ!はーちゃんはやっぱり天才ね!」


「じゃあリンこれからよろしくね!」


「えぇ!必ず悪いいにしえの妖怪を倒すわよ!はーちゃん!!」



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