恐怖心

 僕は失敗することに対して、異常な恐怖心がある。何故なら失敗した時、笑われるのではないか、怒られるのではないか、呆れられるのではないかと頭の中で考え過ぎてしまうからだ。だから、何かを決断する時、考えすぎてしまう。現にこの文章を書いている時も、かなり熟考しながら書いている。



 つまりただのビビりなのである。



 それは幼い頃から変わらない。前に母親から聞いた話を思い出した。


 幼稚園生くらいの頃、両親に連れられ、隣町にある公園に連れて行かれた時があった。その公園には様々な遊具があると人気であり、自分たちと同じような家族で公園内に大勢いた。

 全ての遊具で遊びきれるか不安だったので、とりあえず並んでいる子どもが一番多かった遊具で遊んでみることにした。


 ワイヤーに繋がれたロープに掴まり、足場から足場まで滑走する遊具。調べてみたらわかったが、ターザンロープというらしい。多くの子どもたちがロープをしっかりと掴んで、「ひゃー」と叫びながらスリルを楽しんでいた。

 だけど、僕はそのロープを握った時、他の子どもたちのようにスリルを楽しめなかった。落ちてしまう想像ばかり脳裏に過る。結局、僕は自分の番になるまで並んで待ったというのに、リタイヤしてしまった。



 何故、皆恐怖を感じないのだろうか。



 幼いながらそんなことを考えながら、自分の後ろに並んでいた自分よりも二歳下くらいの子どもが笑顔でロープを握って、楽しそうに滑走している様子を眺めていた。


 今でもそんな恐怖心は僕の中に残っている。どうすればなくせるだろうか。いつも模索している。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人生初見 鈴木 正秋 @_masaaki_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ