ずっと好き

第4話

「まさか樹里ちゃんからお誘いいただけるなんて夢みたい」


千さんの笑顔は私の何かを満たしていくようだった。


初体験は未知の世界。


「何も怖がらないで。俺が全部優しくする」


安心。


その一言に尽きるだろう。


私が欲しい言葉をくれる大好きな人。


「私のこと永遠に愛してくれるの?」


ベットで寝転がっている私は手を伸ばして、千さんの顔を触った。


「どうしたら安心させられるかな。俺、今すごい幸せだよ。この幸せを一生感じられるなんて来世はきっとまともな生き物に転生できないだろうな」


千さんの目を見ればその言葉に嘘偽りがないことが分かる。


優しく私を包み込んでくれる千さん。


私は恥ずかしさと緊張で体が強張る。


「樹里ちゃん、好き。大好き。ずっと好き。可愛い、愛おしい。本当に美しいよ」


「わざと?恥ずかしいよ」


ダイレクトに気持ちを伝えられると、こんなにもドキドキするのだと初めて知った。


「一分一秒も離れたくないくらい、好きだよ」


緊張がどんどん解れていく。


痛みから快感に変わった時、千さん以外に目が行かなかった。


「やばい、可愛い。俺で感じて、乱れてる樹里ちゃん、最高」


髪の毛をかき上げる仕草。


普段とは違う呼吸の乱れ。


そんな小さなことでも愛おしいと思う。


「どうだった?よかった?」


終わってからベットで横になった私たちは多分、世界で一番幸せだ。


「またしようね」


すっかりこの愛情表現を気に入った私は、次を望んだ。


「嬉しいよ。俺、このままずっと一緒にいられるの幸せだ」


優しく微笑む千さんは私を後ろから抱きしめる力を強めた。


「絶対に離れないでね」


千さんの力はどんどん強まっていく。


その強い力にさえ興奮してしまう。


「千さん、もう一回」


互いの寂しさを埋めるには互いが必要。


私たちは一心同体。


もう千さんがいない世界なんて生きていけないくらいになってしまった。


全ての出会いはどれも必然だったらしい。


「ずっと一緒にいようね」


私の言葉に笑顔を見せる千さん。


「もちろんだよ。…やっと堕ちてくれたね。俺のお姫様」


恋は盲目というがきっとこの事を指すのだろう。


「もう一回、いいかな?」


私の髪を撫でながら私に同意を求める。


もちろん私の答えは決まっていて、私には千さんしかいなかった。


「千さん。もう一回。気持ちよくして?」


そう言うと千さんは優しい顔から少し変わる。


「もっと俺に堕ちて欲しい」


私たちは飢えた者。


満腹中枢がバグったかのように私の体をずっと求めてくれる。


愛してくれる千さんに、私も狂っているのかもしれない。


千さんは私を満たしてくれる大好きな人。


「ずっと俺だけに愛されてね。もっと求めて」


そんな要求さえ私の気持ちを昂らせる。


「俺にどんどん堕ちてくれ」


「私は千さんのものだよ。私はもう堕ちたの」


千さんの声。


千さんの呼吸。


千さんの目。


千さんの手。


その全てが私を虜にした。


そして私は千さんに堕ちた。

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そして私は堕ちた 杏樹 @an-story01

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